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「リッカルド・ムーティ(1941~)」 ナポリ生まれ、名教師フェラーラのもとで指揮を学ぶ。1967年カンテルリ指揮者コンクールで優勝。1969年からフィレンツェ市立歌劇場の首席指揮者の後、1973年から大指揮者クレンペラーの後任として、ニューフィルハーモニア管の音楽監督、1980年から92年まで、フィラデルフィア管の音楽監督、その間1986年からミラノスカラ座の音楽監督といったまさに順風満帆のキャリアを歩み、イタリア系の指揮者では、今やアバドに次ぐ巨匠として活躍。 ・フィラデルフィア管弦楽団 (1984年 11月10,12日 フィラデルフィアメイソンホール) 「ローマの松」のステレオ録音スタンダードとして世評の高い名演奏。ここで聴かれるフィラデルフィア管の響きは、オーマンディ時代の煌びやかな華やかさよりも南国的な暖かさを感じさせるもの。トスカニーニの影響を受けた早めのテンポできびきびと進め、健康的でパンチの効いた演奏。中でも「ジャニコロの松」の表情つけが絶妙で、弦楽器のピアニシモの中から自然と湧きあがってくるクラリネットをはじめとする木管楽器ソロは雰囲気満点でした。オケのうまさとスカッとした爽快さの感じられる演奏で、この曲のCDを1枚だけ欲しいという人にはお勧めの演奏。ただ、あまりにも楽譜に忠実で何一つ欠点がなく、もうひとつお遊びが足りない点が私には物足りませんでした。豪快に盛り上がる「アッピア街道の松」のバンダは、トランペットとトロンボーンを使用。 「ジョゼッペ・シノポリ(1946~2001)」 ヴェネツァ生まれ、パドヴァ大学で精神医学を修めた後、マデルナに作曲、スワロフスキーに指揮を学びました。1983年からローマ聖チェチーリア音楽院管、1984年からフィルハーモニア管、1992年からドレスデン・シュターカペレの首席指揮者。 2002年からザクセン州立歌劇場の音楽総監督に就任する予定でしたが、2001年、ベルリン・ドイツオペラで「アイーダ」を指揮中に劇的場な最後を遂げてしまいました。 シノーポリは実演でマーラーの「復活」と8番の交響曲を聴く事が出来ましたが、特に「復活」は、明晰で劇的、新しい時代を予感させる新鮮な感銘をうけました。 ・ ニューヨークフィルハーモニック (1991年 4月 ニューヨークマンハッタンセンター) 中身の濃い重量級の名演。演奏全体に漂うぶ厚いシリアスな響きは、同じイタリア人でありながら、ムーティとは対照的な演奏でした。怒りに満ちた「カタコンブの松」厚い雲がゆっくり流れるような「ジャニコロの松」などの時間の経過の描きわけは実に見事。デ・サーバタ系の遅いテンポでひた押しにヒタヒタと迫る「アッピア街道の松」は、コール・アングレの歌い回しが芝居がかっているとはいえ、恐怖感すら感じさせるド迫力の演奏でした。 なお、バンダはソプラノブッチーナはトランペット、テノールブッチーナはフリューゲルホルン、バスブッチーナはたぶユーフォニウムだと思います。
(2002.11.21)
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