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「ローマの松」を聴く6 イタリアの指揮者4・・・ペドロッティとガルデッリ
「アントニオ・ペドロッティ」(1901~1975)
トレント生まれ、ローマの聖チェチーリア音楽院でレスピーギに作曲を学ぶ。
1929年トレントフィルの指揮者、その後聖チェチーリア音楽院の副院長とプレヴィターリの下で同管弦楽団の副監督。第2次世界大戦後はフリーとなり、イタリア放送響、チェコフィルなどに客演。1960年にハイドン管弦楽団を創設し、その指揮者として活動しました。
ペドロッティは「プラハの春」音楽祭の常連で、チェコフィルを振ったレスピーギ「ローマ三部作」の録音があります。

・ チェコフィルハーモニー管弦楽団
(1971年  スタジオ録音)
ペドロッティ晩年の録音。他の「祭」「泉」の2作はいまひとつの出来でしたが、「松」は
細部まで神経が行き届いた雄大な名演となりました。
のびやかな「ボルゲーゼ荘の松」。鐘の音を模したピアノの低音が響く中に、明暗の移り変わりを絶妙に描き分けた「カタコンブの松」では柔らかなトランペットの響きが実に美しく響いていました。モリコーネの音楽を聴くような「ジャニコロの松」は多少通俗的な趣でしたが、「アッピア街道の松」では、練習番号22の直前にゴングのクレシェンドと、その後1小節内の1拍目と2拍目にゴングを追加するなど、譜面に独自の手を加えながら大きな広がりのある壮大なクライマックスを築いていました。
なおバンダはトランペット、ホルン、トロンボーンを使用。

「ランベルト・ガルデッリ(1915~)」
ヴェネチア生まれのオペラ指揮者、1946年のストックホルム国立歌劇場の指揮者を経て、
ブタペスト国立歌劇場、ベルン歌劇場の音楽監督。その間にスゥエーデン国立管弦楽団、
デンマーク放送響、ミュンヘン放送管の音楽監督を歴任。特にヴェルディのスペシャリストとして名高く、初期の珍しいオペラをいくつか録音しています。

・ ロンドン交響楽団
(1974年 スタジオ録音)
遅めテンポでどこか南国的なローカルな味わいの演奏。田舎祭りの情景のような鄙びた「ボルゲーゼ荘の松」、叙情的ではあるがどこか垢抜けない「カタコンブの松」など、いくぶん線の細さを感じますが、一転して早いテンポで進めた「アッピア街道の松」では、サクソルン族のバンダと本体の金管群の立体的な絡み合いが見事に決まっていました。

(2002.11.16)
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