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「ローマの松」を聴く20・・イタリアの指揮者6 ガッティとサンティ
「ダニエレ・ガッティ(1961~)」
ミラノ生まれの新進気鋭のガッティは、30代にして著名なオペラハウスやオーケストラの
音楽監督に就任した俊才。
 1992~1997 聖チェチーリア音楽院管弦楽団 首席指揮者
 1994~1997 首席客演指揮者
 1996~   ロイヤルフィルハーモニー  音楽監督
 1997~   ボローニャ市立歌劇場    音楽監督

・ ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団
(1996年 10月14日~16日 ローマ スタジオ録音)
ガッティのヨーロッパデビューとなった記念すべき録音。この録音によりガッティの名
が一躍有名となりました。
今までこの曲の解釈の主流であった、レスピーギの色彩豊かなオーケストレーションを最大限に生かしたオーケストラのショウピースとしての捉え方から離れ、冷静な目でこの曲の本質を見据えた名演奏。同じようなアプローチとしては、マリナーやデ・ワールトにも見られましたが、マリナーのように各声部をくっきりと浮き上がらせるのではなく、それぞれの楽器の響きを見事にブレンドさせ、のびやかで歌心に満ちた演奏に仕上げています。
ある意味では、トスカニーニがおそらく捉えていたであろう、この曲の深い本質に立ち帰った演奏とも言えるかもしれません。
「カタコンブの松」や「ジャニコロの松」などは実に美しい演奏ですが、どこか冷めた目で外から見つめている指揮者の姿を思い浮かべました。とても30代前半の指揮者とは思えない老成した演奏でもあります。なおバンダはプレヴィターリ盤と同様にサクソルン族を使用していました。

「ネッロ・サンティ(1931~)」
イタリアオペラ界の長老指揮者。スカラ座、ウィーン、メトなど世界の主要歌劇場のほとんど全部で指揮。録音も多く、特にロッシーニのスペシャリストとして有名。
たびたび来日し、読売日響やNHK響に客演しています。

・ 読売日本交響楽団
(1999年 4月12日、26日 東京 サントリーホール ライヴ録音)
読売日響の演奏会ライヴCD、この演奏はテレビでも放送されたようです。
演奏は、オケを明るいく鳴らした陽性なものです。特に、弦楽器にヴィヴラートを目一杯付けた「カタコンブの松」には驚きました。ポルタメントを付けた甘いあまーい「ジャニコロの松」など、とにかくロマンティックで官能的な演奏です。
ワンポイントマイクによる録音は、会場の雰囲気はうまく捉えてはいますが、細部に明瞭度を欠く部分もあり、「ジャニコロの松」の鳥の声はほとんど聞こえません。一方、「カタコンブの松」のドラが大きすぎて、聞いていてドキッとするほどでした。
バンダはフリューゲルホルンをはじめとするサクソルン族で統一しているようです。
これらの太い響きはなかなか効果的で、「アッピア街道の松」では、老練なサンティの指揮の下、大きな盛り上がりを演出していました。
(2003.01.14)
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