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「ヴィトルド・ロヴィツキ(1914〜1989)」 現代音楽を得意としたポーランド最大の名指揮者ロヴィツキには、長く音楽監督をつとめたワルシャワフィルとの録音があります。 ・ワリシャワ国立フィル (1965年ころ スタジオ録音) からからに乾燥した干物のような「展覧会の絵」。オケの鄙びていて痩せた響きと予想外の部分でテンポの緩急を極端につけたりするなど、一種異様な演奏となっています。 「グノーム」中間部の異様な早さ、テヌートを多用した「卵の殻を被った雛鳥の踊り」「ヴィドロ(ポーランドの牛車)」のクライマックス部分のホルンは、ほとんど聞こえないほどに抑えチューバと弦楽器をことさら強調しています。「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」では、まったく軟体動物のような、ふにゃふにゃとした弦楽器にトランペットがフレーズの後半にテヌートをかけた独特の訛りのある歌いまわしを見せ、不思議な効果を上げていました。枯れた「キエフの大門」も驚きの連続で、練習番号108のテインパニはトレモロとし、ラレンタンド部分は突然テンポを早め、唐突な終結となっていました。 「ヘルベルト・ケーゲル(1920〜1990) ドレスデン生まれ、ピアニストを目指していましたが、第2次世界大戦で負傷し、 指揮者に転向、ライプツィヒ放送響、ドレスデンフィルの音楽監督を歴任。 東ドイツ崩壊後、謎のピストル自殺を遂げる。 旧東ドイツを中心に活躍していた指揮者といえば、スイトナーやマズア、レーグナー といった人達がほぼ同世代ですが、現代音楽の演奏では、ケーゲルの実力は群を抜き、 ベートーヴェンやブルックナーの作品でも独特の境地の演奏を聴かせました。 CD初期に廉価盤として出まわったベートーヴェン交響曲全集など、恰幅のよい実に良い演奏でした。 ・ライプツィヒ放送響 (1963年ころ スタジオ録音) 早いテンポ、ひとつひとつの音を極端に区切り、とげとげしいまでに挑戦的な冒頭プロムナードのトランペットの響き、「グノーム」に向けてがくんと突然落ちるテンポ、曲の始めから何か尋常でない雰囲気です。 木管をことさら強調しするのですが、カラフルさよりもグロテスクさが感じるのは、演奏全体に漂う狂気のためでしょうか、荒涼とした「古城」、怪奇色に満ちた「カタコンブ」、「ババヤーガの小屋」はこの演奏の白眉です。また「リモージュ」での中間部分の練習番号67の2小節めから2小節ほどをカットし、その後の4小節ほどは、どの楽譜にもない楽節と入れ替えていて、これには驚きました。
(2002.05.18)
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