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ロシアの指揮者二回めはスヴェトラーノフとテミルカーノフ 「エフゲニー・スヴェトラーノフ(1928〜)」 現在ロシアを代表する指揮者スヴェトラーノフ。 「展覧会の絵」には1965年から音楽監督をつとめるソヴィエト国立交響楽団(ロシア国立響)の1974年の録音があります。 ・ ソヴィエト国立交響楽団(ロシア国立交響楽団) (1974年スタジオ録音) 70年代までのスヴェトラーノフの演奏は、金管を派手に鳴らした豪快でスケールの大きさがある反面、幾分強引で繊細さに欠ける演奏が多かったのですが、この「展覧会の絵」は、ロシア的な雄大さをそのまま生かしながら、のびやかさと曲の細部にわたって細かな配慮の行き届いた名演奏となりました。 ゆったりとしたテンポで始まる冒頭のプロムナード。ここでもヴィヴラートを過剰なまでにかけた派手な金管楽器はロシア的なオケの特徴そのままですが、オケの響きに頼らず絶妙なテンポ設定で各曲の性格を実にうまく描きわけています。またオケの技量もすばらしく、指揮者によっては暴走し、やりたい放題となってしまうこのオケを見事にまとめています。「古城」は速すぎず遅すぎず、快適なテンポに乗って歌うアルトサックスのうまさと「ヴィドロ」のチューバの太い響きが非常に印象に残りました。 ラヴェル版にいくつか手を加え、「サミュエルゴールデンベルクとシュミイレ」の終結部分は原典版に沿ってドレシシに変え、「カタコンブ」から終曲にかけてもゴロヴァーノフの打楽器の加筆をそのまま生かし、痛快なクライマックスを築いています。 「ユーリー・テミルカーノフ(1938〜)」 コーカサス生まれ、1988年ムラヴィンスキー亡き後のサンクトペテルブルクフィル(レニングラードフィル)の首席指揮者となったテミルカーノフには、1980年のソビエト国立響とのライヴ録音があります。 ・ソビエト国立交響楽団 (1980年ライヴ録音) モスクワ放送局の倉庫に眠っていた旧ソ連の放送録音を積極的に発掘している韓国のイエダンレーベルの中の1枚。 硬質で男性的な「展覧会の絵」。冒頭のトランペットが音をはずしたり、カタコンブでトロンボーン群が一斉に2拍ずれたりといったライヴならではの大きなミスはありますが、テミルカーノフらしいアクの強い音楽造りがこの曲では成功していると思います。 ヴィヴラートを極端に効かせた「ヴィドロ」のチューバや「古城」のサックス、「ババヤーガの小屋」でのテインパニの強烈な乱打など、一般的なロシアのオケのイメージそのままの世界が聴かれます。 「卵の殻を被った雛の踊り」では、旋律線にグロッケンを重ね、「サミュエルゴールデンベルクとシュミイレ」の終結部はスヴェトラーノフと同じくドレシシに改変、ここでもゴロヴァーノフと同じく後半には打楽器大幅に加筆、特にティンパニの強打は凄まじく、「ババヤーガの小屋」から「キエフの大門」までは打楽器の独壇場と化していました。
(2002.04.14)
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