その4 / アメリカで活躍した指揮者たち(その2) レナード・バーンスタイン 20世紀後半の指揮者界を人気、実力ともにカラヤンと二分したバーンスタイン(1918〜1990)。 今回聴いたのは以下の6点です。
この中で正規発売の録音はニューヨークフィルの録音と映像、そして「偉大な指揮者たち」というドキュメンタリーに収録されているロンドン響との演奏で、ウィーンフィルの5月29日演奏は当時のFMエアチェックテープ、5月28日演奏とボストン響の録音は海賊盤です。なお5月29日録音は海賊盤CDも出ています。 かつてムラヴィンスキー盤と並んでこの曲の代表盤とよばれていた1959年ニューヨークフィルとの録音。同じ年のバーンスタイン&ニューヨークフィルのモスクワ演奏旅行時に、この曲の演奏終了後、作曲者が感激して壇上に上がったという有名なエピソードがあります。この盤のLP発売時にはこの時の写真がジャケットに使われていました。 演奏は第1楽章の深く沈潜していくテンポ感、第三楽章の悲しみの表現は実に見事、第四楽章は早いテンポで始まるロジンスキーと似たテンポ設定ながらも、決して表面的に陥らない演奏です。ただ、後の録音に比べるとバーンスタインのマーラー録音にも通じる幾分我を忘れた絶叫型であるのも事実。 同じオケの東京ライヴは、コンサートの模様をそのまま収録したものではなく、二日間のコンサート終了後、同じ会場でもう一度全曲演奏を行って細部を差し替えたものです。したがってライヴにありがちな細かなミスは感じません。 ボストン響との録音は、おそらくボストン郊外のタングルウッド音楽祭での野外コンサートのライヴ収録です。タングルウッド音楽祭のライヴには、雷鳴や雨音が入っている盤があったりします。この演奏でも小鳥のさえずりが盛大に聞こえます。 演奏はボストン響の幾分柔らかで暖かな響きを生かした、落ち着いた印象の演奏です。 ウィーンフィルとの5月29日録音は、猛者揃いのウィーンフィルとバーンスタインの個性が火花を散らしてぶつかり合ったライヴならではの白熱した演奏です。 ウィーンフィルの5月28日録音は問題があります。 演奏の実体はスヴェトラーノフとの説もありますが、私はムラヴィンスキーとともにレニングラードフィルの指揮者だった名指揮者アルヴィド・ヤンソンス(マリス・ヤンソンスの父)の演奏に似ているような気がします。 ロンドン響との数分間のリハーサルはあまりに短すぎて、演奏の印象を述べることはとても出来ませんが、ニューヨークフィルとの映像よりも厳しさが感じられました。 |