その17 / 東欧の指揮者たち(ポーランド編) ロヴィツキとスクロヴァチェフスキー ヴィトルド・ロヴィツキ(1914〜1989) ロシア領のタガンロフ生まれ、指揮をヒンデミットに師事、ポーランド放送響を創設、 ワルシャワ国立フィルの総監督になるなど、戦後ポーランド音楽界の重鎮。 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキー(1923〜) 最近N響の定期にも登場し、ザールブリュッケン放送管を振ったブルックナー交響曲全集 の名演で人気上昇中のスクロヴァチェフスキーは、あまりにも長い名前のためにミスターSと呼ばれています。 1960年からミネアポリス響(現ミネソタ管)、84年からイギリスのハレ管の音楽監督。 ミネソタ響とのラヴェルの管弦楽曲全集やヘンデルなどはモダンでスカっとした名演でした。 録音はミネアポリス響とハレ管との2種の録音があります。 ミネアポリス響との演奏は全体に極めて早いテンポのドライな演奏。 まるでショスタコーヴィチの干し物。 あちらこちらでテンポを揺り動かした一癖もニ癖も有る演奏ですが、今一つ指揮者の意図がオケに徹底していない感じです。 一方のハレ管の演奏は一転して遅いテンポの演奏でドロドロとした不気味さでは随一。 しかし作品の本質を冷静な目で見据えた一点の曇りのない明晰な演奏だと思います。 第1楽章でスネアの連打に乗ってトランペットがミリタリー調の節を吹き鳴らす ポコソステヌートの繰り返し部分ではトランペットを休ませて木管だけで演奏させるなど随所にアッと驚く解釈があります。曲想が変転する直前の大きなルバートなども嫌味になる寸前でうまく決めています。 とにかく個性的な点ではダントツの二人の演奏ですが、いずれも説得力のある演奏だと思います。 |