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今回は、かつてはかなりの量の録音をおこないながら、最近ではすっかり消息不明となって しまったフランスの3人の指揮者です。 「ロベルト・ベンツィ(1937〜)」 マルセイユ生まれ、天才少年として知られクリュイタンスに指揮を学び、指揮デビューは11才!ベンツィを主人公とした映画2本にも出演。オランダのアーンヘムフィル、ボルドーのアキテーヌ管の音楽監督を歴任。最近ナクソスからフランクの交響詩集を出し、健在ぶりをアピール。 ・ ラムルー管弦楽団 (1965年 スタジオ録音) ベンツィがかなり精力的にレコーディング活動を行っていた時期の録音。若い頃のデユトアが追っかけをしていたというベンツィですが、正直言って若い頃のベンツィの録音で私は良いと思ったためしがありません。 このビゼーも、かっちりとした硬質の演奏ですが、とこどころリズムがふにゃっと腰砕けになる部分があり、演奏は平凡な出来でした。「天才も二十歳過ぎればただの人」を証明したかのような演奏です。 フランスの伝統あるラムルー管も特徴のある管楽器の音色の魅力を充分に発揮せずまま 終わった感があります。 なお第3楽章トリオのオーボエは、マルティノンと同様にシのフラットに改変。 「アラン・ロンバール(1940〜) パリ生まれ、ストラスブールフィル、パリ・オペラ座の音楽監督を経て、ベンツィの後任として、ボルドー・アキテーヌ管の音楽監督。ロンバールは、ストラスブールフィルの音楽監督時代にかなりまとまった数の録音を残しています。 ・ストラスブールフィル (1975年 スタジオ録音) 冴えたリズム、良く歌い、余韻を持ったなかなかの好演です。特に第3楽章のオーボエの伴奏を行う弦楽器のピチカートの雄弁さが印象的。この第2楽章の中間部でごく自然にすーとテンポを上げ、終結部でゆっくりとテンポを落としながら軟着陸するさまは実に見事。 ストラスブールパーカッショングループとして名高いパーカションセクションは、この曲では目立ちようがありませんが、ティンパニはさすがに秀逸。カップリングされている 「アルルの女」ファランドールのパーカションパートは、数ある録音中最高の出来。 「ルイ・フレモー(1921〜)」 北フランス、エール・シュ生まれ、モンテカルロ歌劇場、ローヌアルプスフィル、 バーミンガム市響、シドニー響の音楽監督を歴任。モンデカルロとバーミンガム時代に バロック音楽からロマン派、近代イギリス作曲家の作品に至る膨大な量の録音を残し、どれも高水準の出来。 バーミンガム市交響楽団 (1977年 スタジオ録音) がっちりとした楷書体の演奏、各フレーズの歌いまわしも自然でさすがの出来映え。フランス風な洒落た感覚は皆無で、軽妙さや軽やかさといったこの曲の魅力的な部分は半減しています。第4楽章で突然ヴィオラの刻みがガガガガと強調されたのには驚きました。 しかし各内声部を次々に浮かび上がらせながら、次第にクライマックスに導く手腕は、さすがに老練。
(2002.07.06)
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