|
|
「ベルナルド・ハイティンク(1929〜)」 ・ ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 (1977年 スタジオ録音) 真面目で誠実な演奏。遅めのテンポ、コンセルトヘボウ管の太めの響きの相乗作用で重厚でロマンティックな音楽となりました。 私がこの曲を聴くときは、第3楽章のトリオ部分と、第1楽章アレグロの快活な主題が次第に転調しながら進行し、ゆるやかで歌謡性に富んだ副主題(練習番号7)に移行する部分の楽器のバランスとテンポの変化が自然に演奏されているかどうかを特に注目して聴いています。 ハイティンクはこの部分をごく自然に実にさりげなく演奏しています。しみじみ歌う第2楽章も見事で、比較的大編成の厚いオケの響きとあいまってシューマンの音楽のような印象です。大きな欠点もなく優等生的演奏でとにかく優れた演奏だと思いますが、若々しさと爽やかさかいったものは幾分後退してしまいました。 「ダニエル・バレンボイム(1942〜)」 ・ パリ管弦楽団(1976年 スタジオ録音) バレンボイムがパリ管の音楽監督に就任して間もないころの録音。ゆったりとしたテンポで始まりしだいに加速していく、バレンボイムが大きな影響を受けたフルトヴェングラーのテンポ設定を真似た第1楽章。副主題への移行部のテンポ設定など大時代的で、かなり無理があるように思います。 第3楽章もトリオのオーボエの音をシのフラットに改変。随所に見られる内声部を強調した意表をつく楽器バランスなど、とにかく手練手管の限りをつくし、この曲を面白く聴かせようとするのが見えてしまっている演奏です。 パリ管の管楽器はさすがにうまく、第2楽章の木管楽器の絡み合いは実に美しく決まって いました。
(2002.04.29)
|
|