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セルジュ・チェリビダッケ(1912〜1996)」 ・ベルリンフィル(1953年9月 ライヴ録音) チェリビダッケ若き日の録音。この演奏の翌年にはフルトヴェングラーがこの世を去り、 チェリビダッケもベルリンフィルの指揮台から去ります。 後のチェリビダッケのような強烈な個性は見られませんが、フルトヴェングラー時代のドイツ風な重厚なベルリンフィルの響きをうまく生かしながら、ある面ではカラヤンとも共通する厳しい練習で音を磨き抜く完璧主義者の片鱗は、既に第2楽章の歌い方などに見られます。メンデルスゾーンの交響曲のような軽やかさも見られ、特に猛スピードで走り抜けるフィナーレはベルリンフィルの名技を誇示した一大デモンストレーション。 戦争の影響で多くの団員を失ったベルリンフィルが、この時期既に戦争の痛手から脱出しつつあったことが伺えます。これもチェリビダッケのトレーニングの成果でしょうか。 フィナーレの最後で、第2バイオリンとヴィオラのきざみを突然強調するなど、後のチェリビダッケには見られないお遊びがあったのが面白いと思いました。 「ディミトリ・ミトロプーロス(1896〜1960)」 ・ニューヨークフィル(1954年 4月28日 ライヴ録音) 耳の化物といわれたギリシャの大指揮者ミトロプーロスのニューヨークフィル音楽監督 在籍中のライヴ。 異様な緊張感に満ちた峻烈な演奏。若々しさとか清清しさといった一般的なこの曲に持つイメージから全く対極にある演奏。狂気にかられ沸騰するフィナーレの凄まじい速さの中でも微妙な陰影を付加し、自然な呼吸で旋律を歌わせていく指揮者の手腕とオケのうまさには驚きました。独特のこぶしをきかせた第2楽章など、ある種の不気味さまで漂っています。
(2002.04.26)
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