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今回はフランス系指揮者の名匠マルティノンとクリュイタンスの演奏を紹介します。 「ジャン・マルティノン(1910〜1976)」 フランスのリヨン生まれ、ダンディ、ルーセルに作曲、ミュンシュに指揮を師事。 ラムルー管、シカゴ響、フランス国立放送管の首席指揮者を歴任し、ルーセルや ドビュッシーに明晰で力強い演奏を残しています。 ビゼーの交響曲は、シカゴ響とフランス国立放送管とのスタジオ録音があります。 ・ シカゴ交響楽団 (1969年 スタジオ録音) 幾分ドイツ的な響きを持つ当時のシカゴ響から、軽快な響きを導き出した演奏。フランス的なエレガントさよりも、近代的な明快な演奏といえます。 演奏全体に漂う爽やかさはシカゴ響時代のマルティノンの演奏に共通した特徴。 ・ フランス国立放送管 (1971年2月 スタジオ録音) オケの自発性にまかせたような演奏。シカゴ響とは全く別人の音楽で、シカゴ響盤のすーと流した肩の力の抜けた音楽とはまた別の世界です。フランスのオケの明るく洗練されたカラフルな音色とマルティノンの幾分硬質で緻密な表現とのバランスが面白い演奏です。この曲の代表的な演奏。ただ第3楽章トリオのオーボエの音譜を両盤とも改変していたのは、自ら作曲家としても名を残しているマルティノンのこだわりでしょうか。 「アンドレ・クリュイタンス(1905〜1967)」 フランス音楽に多くの名演を残したベルギーの名指揮者クリュイタンスには、モノラル期に、フランス国立放送管による録音を残しました。 ・ フランス国立放送管弦楽団 (1953年10月 スタジオ録音と同年モスクワライヴ) なぜか、ビゼーの交響曲第1番の名演の多くはフランス国立放送管の録音です。 クリュイタンスの演奏も、自発性に満ちた管楽器群を巧みに統率した見事な演奏となりました。第1楽章の壮大な表現、第2楽章の上品な歌わせかたはクリュイタンスならではのもの。第3楽章のトリオ部分のオーボエも譜面に忠実。ただフィナーレは幾分品が良くなりすぎて、無邪気なまでの愉悦感からは遠のいた印象です。 またクリュイタンスは同じ頃に、同じオケを振ったモスクワでのライヴ録音があり、こちらは一直線に突っ走ったストレートな演奏でした。
(2002.04.21)
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