・バイエルン国立管弦楽団 (1950年10月2日 ライヴ) 戦後初めてワルターがドイツを訪れた際のライヴ。 当日はウェーバーの歌劇「オイリアンテ」序曲とシューベルトの交響曲第7番「未完成」が演奏され、3曲とも録音が残っています。 バイエルン国立管はバイエルン国立歌劇場のオケの別称で、ワルターは1913年から10年間バイエルン国立歌劇場の音楽総監督でした。 このコンサート時のバイエルン国立歌劇場の総監督は、若き日のショルティ。 ショルティの「巨人」にはワルターの影響がいくつか聴くことができます。 アンサンブルにほころびは見えるものの、豪快にして力強くも熱い演奏でした。 オケの渋く柔らかな響きも好ましいものです。 第一、二楽章のリピートなし。第四楽章練習番号「44」のシンバルなし。 使用楽譜は1912年版(DP3)。 第一楽章かっこうのタメが特徴的、33小節のホルン二重奏部分からテンポを速めていきます。主部に入ると速いテンポで快適に前へ前へと進み、オケもワルターもしだいに興に乗ってくるのがわかります。 123小節めのティンパニのクレシェンドは、楽譜指定よりも1小節速く入っていました。 180小節からのチューバの伸ばしは、コントラファゴットに替えているようです。(作曲者の認める指示有り)227小節から加速し自由に歌い上げていきます。 305小節で一瞬ためて、続くクライマックスへ向けて加速。 終盤のウルトラセブンのテーマのようなホルンの咆哮から、凄いスパートをかけていました。 第二楽章の39−44小節のクラリネットはトランペットに置き換えているように聞こえます。69小節のティンパニはトレモロ改変。 88−91小節のトランペットは完全に落ちてしまっていました。 107小節のファゴットからコントラバスへ変わる経過句でも、ファゴットが♯を落としています。121小節のホルン有り(1906)、 1906年版の特徴である155小節からと、326小節からのティンパニは、最後のコロンビア響との演奏では叩かせていましたが、この演奏では有りませんでした。 ワルターの演奏でこの部分のティンパニを叩いていないのは、この演奏と1939年のNBC響との録音のみです。 トリオはあっさり速く過ぎ去り、最後のトランペットのさらっとした切り上げも鮮やか。 第三楽章 トランペットソリの上を歌うオーボエの付点8分音符を長めにとるのが、ユダヤ系の音楽家特有の独特の粘りのようにも感じられました。 63小節からのファゴットの上昇音型とコントラバスの下降音のバランスが良く、87小節からのレントラー部分の、弦楽器の蕩けそうなポルタメントは、退廃した古き良きミュンヘンの雰囲気。 後半の歩みは力強く103小節からの再現部の不気味感も出色。 第四楽章は鳴りきったブラスの咆哮もすさまじく、55小節からの中間部も力強く、290小節のホルンなしは1906年版と同じ。 218小節の1小節の中でのフェルマータからアチェレランドへ崩れる部分のテンポ変化のうまさはワルターの指揮芸術の真骨頂。290小節のホルンなし。 311小節からアチェレランドし、376小節からの猛然と突進。 442小節からのコントラバスの伸ばす音の上に乗って、チェロから始まる第一楽章回想の弦楽器のつぶやきは非常に美しいものでした。 496小節のシンバルなし。643小節のチェロとベースはテヌート気味。 終盤はかなり遅いテンポで、トランペットが限界を超えて音を外しまくっていましたが、壮麗なクライマックスを築いていました。 最後のホルンの補強はトランペット、トロンボーン各1本。 今回聴いたのはOrfeoから出ているライヴCD.ですバイエルン放送局からの正規CDですが、音がかなり荒れていて気になりました。 (2014.07.13) |