「巨人を聴く」39・・・・独墺系の指揮者たち7  ベルンハルト・クレー
ベルンハルト・クレー(1935〜)

テューリンゲン州のシュライツに生まれ、ライプツィヒの聖トーマス教会聖歌隊で音楽教育を受け、その後、ケルン音楽大学で指揮とピアノとオペラを学ぶ。
1957年、ケルン歌劇場練習指揮者、ベルンの市立劇場の練習指揮者からケルン歌劇場に戻ってサヴァリッッシュのアシスタント、その後正指揮者に昇格。

1966年にはリューベックの音楽総監督に就任。
1976年にハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニーの首席指揮者、1977年からはデュッセルドルフ交響楽団の首席指揮者も兼務。1991年から1995年まで北ドイツ放送フィルの首席指揮者。来日してN響も振っています。
 
クレーはソプラノ歌手エディット・マティスの夫としても有名。

マーラーは第1番、2番、4番のライヴ録音があります。

・ベルリン放送交響楽団
(1979年10月28日  ベルリン フィルハーモニー ライヴ録音)

第1, 2楽章リピートあり、第4楽章496小節めシンバル有り。
ラッツ改訂1967年版。

軽く端正きっちり丁寧な演奏でした。
物静かで落ち着いた雰囲気が第三楽章まで漂いますが、第四楽章で突然豹変します。

第一楽章冒頭から淡い静けさが漂い、主部に入っても丁寧に歌い上げますが、響きは全体に薄くその結果音楽が軽いものになってしまいました。
ホルンのミスが多くアンサンブルも緩めです。
時として音楽の流れが澱みます。

第二楽章冒頭はフレッシュで爽やかな開始。
響は軽く、トリオでのヴァイオリンのわずかなルパートが洒落ていました。

第三楽章も清潔できっちり整理された几帳面なアンサンブル。
遅く慎重な小心者の音楽。
終盤の149小節あたりからテンポを徐々に落とし木管が絡み合う部分の緊張感は見事。

最後の2小節は編集ミスで切れてました。

第四楽章は一転して阿修羅の如く荒れ狂った演奏。
序盤は力を抜いているもののテンポと音量を徐々に上げて盛り上がります。
中間部あっさり、オケは非力ながら息の長いクレシェンドはうまく音になっていました。
430小節の最初の嵐が去った後の静けさとの対比が印象的。
ここでテンポが初めて大きく揺れて、458小節からの歌はたっぷりと遅くヴィヴラート。
496小節のシンバルが入るまでのタメとティンパニの強打が効果的でした。

ホルンの補強はトランペット、トロンボーン各1本のようです。

今回聴いたのはLUCKY BALLという怪しげなレーベルが出していた裏青のCD−Rです。FMのエアチェックをそのまま焼いたようなざらついた音質でした。
現在Altusから正規盤が出ています。
(2015.09.25)