・フランス国立放送局管弦楽団 (1958年5月8日 パリ シャンゼリゼ劇場 ライヴ録音) モントゥーのフランス国立放送管への客演時のライヴで、指揮者、オケともにオールフランス勢による演奏。 このオケへのモントゥーの50年代のライヴ録音は、まとまった量のセットものCDが出ています。 当日はこのチャイコフスキーのほか、リムスキー・コルサコフの組曲「金鶏」、「ペトルーシュカ」、プロコフィエフの古典交響曲が演奏されました。 モントゥーのチャイコフスキーの交響曲第5番の解釈は、オケや演奏年代が変わっていてもほとんど変化がありませんでした。 ただ、第一楽章序奏の後のAllegro con animaではスタジオ録音では速めですが、ライヴでは幾分テンポを落としていたようです。 ライヴらしい即興的なテンポの揺れもあります。 この演奏は他のオケとの録音と比べ、使用楽器の違いから聴いた印象は多少異なります。 この時期のフランスのオケの多くは古いタイプの小型のフレンチチューバを使用していました。(この時期のフランス国立放送管の映像で確認できます) その結果フォルティシモでの響きが、ボストン響やロンドン響に比べかなり明るく高音寄りになっていました。さらにファゴットもフレンチタイプのバソンを使用しています。 http://www.numakyo.org/c_pic/17.html 第一楽章の序奏のあと、Allegro con animaはゆっくりめで、第2主題が出る前のffでテンポをぐっと落としています。 オケのコントロールは見事ですが、339小節あたりで弦楽器に微妙なずれがあります。 たっぷり歌い上げた第二楽章のメランコリックな味わいはこの演奏で最大の聴きもの。 第四楽章ではオケの明るく響きとなめらかな音が、他の演奏よりもスピード感はあるように感じました。 ロンドン響との演奏にはなかった58小節のティンパニの1発は有り。 運命の動機が出現する2回目、188小節の大きな減速と。210小節から加速したあと、451小節の大ブレーキはどの演奏にも共通した解釈。 明るく輝かしいブラスによる最後の追い上げは素晴らしいものでした。 最初いまひとつ乗り切らぬ様子だったのが、第二楽章の後半あたりからオケと指揮がうまくかみ合い興に乗っていく様子がよくわかります。 今回聴いたのはディスク・モンターニュとM&Aが出したCDの2種です。 モノラルながらバランスの良いものですが、M&AのCDがよりまとまった響きでした。 (2015.02.13) |