「レイフ・セーゲルスタム(1944〜)」 フィンランドのヴァーサ生まれ、ヘルシンキのフィンランドアカデミーとニューヨークのジュリアード音楽院で指揮と作曲を学ぶ。ドイツのラインランド=プファルツフィルハーモニーとヘルシンキフィルの音楽監督を歴任。 作曲家としてのセーゲルスタムは非常な多作家で、交響曲は実に240曲を超え、ヴァイオリン協奏曲も10曲、ギネス級の多産作曲家です。 レコーディングも多くシベリウスは二つの交響曲全集録音があります。 ・ストックホルムフィルハーモニー管弦楽団 ( 2002年10月 ヘルシンキ スタジオ録音 ) セーゲルスタム2回目の全集録音中の一枚。 純で透明でクールなオケの音色を生かした明晰な演奏でした。 第一楽章や第四楽章の山場の築き方などうまいものです。 第一楽章は、渋く木目調の響きの中でゆったり暖かな音楽運びが印象的。 優しく語りかけるようなアコーギクとffの太い響き。229小節前の金管の入る部分の壮大さなど見事なもの。 第二楽章冒頭の低音弦楽器のピチカートのテンポの変化とティンパニの音量コントロールが実に絶妙。89小節からのmolt largamenteからのブラス群のフォルテは遅め。 Andante sosutenuto前のフェルマータもLungaの指定のとおり長く採ります。 中間部は遅めでいろいろな音が聞こえてきます。 214小節のAllegro con moto energicoは速く、遠くから近づくクレシェンドも効果的。 第三楽章はサラサラと乾いた砂が砂丘を流れていくような軽さで進行していきます。 ff−fz−fzはff−p−pとし、音の移り変わりを明確に表現。 後半からはめっぽう鳴らす弦楽器のスタッカートとテヌートも明確。 細かな動きの弦楽器に乗る木管楽器の音量変化の正確さや、フィナーレへのブリッジは混沌から実体への変化の表現の密度も濃いものでした。ブラスの引き伸ばしでのティンパニのクレシェンドが絶妙。 第四楽章の24小節のフルート、オーボエが明快 163小節からテンポを加速、音量をアップして181小節からのトランペットとトロンボーンが3拍めの16分音符をひっかけ強調しながら盛り上がりながら冒頭回帰していきます。この回帰した後の第一主題はの1拍目を微妙にタメルる変化を演出。 終盤の坂道を上る最初のヴァイオリンは軽い響きで開始。 コラール前の低音部はシュニットガーオルガンのような明快さで鳴り響いていました。 http://nucl.sci.hokudai.ac.jp/~ohtsuka/schnitger/ 爽やかにして明快、作曲家の鋭い眼が作品の本質を貫いた名演です。 今回聴いたのは、ONDINEレーベルのCDです。ナチュラルで明るい爽やかな音。 (2012.02.27) |