「シベリウスの2番を聴く」32・・・イギリスの指揮者たち5 ギブソン その2
今回はギブソンの3度目の録音となったロイヤルフィルとの演奏です。

・ロイヤルフィルハーモニック管弦楽団
(1989年  ロンドン  スタジオ録音)

ギブソンは、晩年にCollinsレーベルにロイヤルフィルとのシベリウスの録音を始めていました。他に交響曲第1番と「四つの伝説曲」の録音が残されています。

要所要所を引き締めながらオケの流れに身を任せた自然体の演奏でした。スコティシュ管との演奏に比べ都会的な洗練さを感じさせますが。外面的な効果を狙わないのがギブソンらしいところです。

第一楽章冒頭から明るい響きで滑らかに進行。時折聞かせるブリリアントなブラスはロイヤルフィルの特性でしょうか。フェルマータの間隔がギブソンの他の演奏より短く、音楽にスピーディーさを感じさせています。
第二楽章は一定のテンポ感で落ち着きと静謐さが支配。Andante sosutenutoに入った177小節でも情に溺れず淡々と歌います。

第三楽章225小節のティンパニのフォルテピアノの強調は印象的。
続く第四楽章は速めテンポ。23小節のティンパニのクレシェンドは効果的です。176小節から微妙に加速し怒涛の盛り上がりの中に第四楽章冒頭主題が回帰。
242小節のヴァイオリンのヴィブラートに絡むホルンは絶妙のバランス。
後半はさらに速め、終結部ではテンポを変化させ大きな効果を狙う演奏が多い中で、ギブソンは素っ気無いほどサラリと流して終わる玄人の味わい。

テンポの変化も少なく旧盤とは聞いた印象がだいぶ異なります。軽く冷静に流しながらも厳しさの漂う引き締まった老練な演奏でした。

今回聴いたのはCollinsレーベルのCDです。デジタル録音ですがヴェールのかかったような音が気になりました。
(2009.08.16)