・ クリーブランド管弦楽団 (1967年3月17日 トロント、マッセホール ライヴ録音) トロントでのライヴ録音。 セルの他の録音に比べると、落ち着きと抑制された表現のシベリウス。 第一楽章から線の細さが感じられるのは録音の影響かもしれません。落ち着きと冷静さが支配。 セルの他の録音では強烈な盛り上がりを聴かせる200小節以降も静かに経過。 テンポは比較的遅めですが、後半ではしだいに大きく揺れはじめ、巨大なうねりとなり、雄大に盛り上がります。最後の小節の休符の間はこの演奏が最長。 第二楽章のティンパニは譜面のとおりのピアニシモ。49小節のホルンの合いの手のモコっとした響きが印象的。98小節からのAndante sosutenutoのpppの中の緊張感を漂わせながらも柔らかな響きで聞かせるところなどすごいものです。 遅いテンポの第三楽章に続くフィナーレは、44小節のaTempo は早めで開始。173小節から冒頭回帰まで急加速して高まる緊張。 197小節のティンパニの一撃は強烈。大きなカーヴで迎えた巨大なクライマックスのpoco largamenteの次にやってくる348小節では大きなテンポの落差を伴い、巨大な滝壺に落ち込んだような感覚に聴き手を誘います。その中でのテユーバの強奏は凄まじく、トランペットのつきぬける響きに導かれるブラス群のコラールはあくまでも爽やかでした。最後の小節のフェルマータもこの演奏が最長。 曲の前半で静かに抑制されていた感情が次第に膨れ上がり、第四楽章で爆発していくといった設計は他のセルのシベリウスの2番の演奏とは異なります。 聴いたのは、アメリカのFM局が収録した音源を1991年にFM横浜が放送されたもの。 演奏前に曲目紹介のアナウンスと拍手が入ります。音は比較的良好なステレオですが第四楽章でノイズが入ります。 (2010.01.29) |