・クリーブランド管弦楽団 (1966年10月15日 クリーブランド ライヴ録音) 遅めのテンポで随所にタメをつくりながらゆったり流した演奏。細部の解釈そのものはセルの他の録音と大きな変化はありません。 譜面にいくつか手を加えてあり、第三楽章160小節の木管にホルンを重ね、第四楽章334小節のティンパニにクレシェンドを付加する部分は、他の録音を聴いた時には気がつきませんでした。第四楽章終盤のチューバには明らかにトロンボーンを途中まで重ねています。 第一楽章ののびやかな開始を経て91小節の弦楽器の細かなパッセージで大きな動きを見せるのは他の録音と共通。210小節のpoco largamenteの早い動きはこの録音のみ。 第二楽章中間部の弦楽器と管楽器の対話の間も絶妙ですが、歌わせ方が丁寧になりすぎるあまり重く感じられる瞬間がありました。 第三楽章のブリッジからフィナーレへ突入する寸前で、大きくテンポを落としタメながら第四楽章へ突入していきます。 第四楽章41小節のpesanteからretenutoへかけてのテンポの落とし方や、112小節のAlargandoの極端な減速は人工的な印象。 全編重々しい演奏で、セルのシベリウスとしては燃焼度の不足が感じられました。 今回聴いたのはセルのライヴ録音を集めたVirtuosoのCDです。 録音状態は比較的良好で、第二楽章はじめのコントラバスとチェロのピチカートが、クリーブランド管の本拠地セヴァランスホールに豊かな残響を伴って響いているのがよくわかります。 (2010.02.07) |