・ バイエルン放送交響楽団 (1993年4月30日 ライヴ録音) 若々しいエネルギーが演奏全体に満ちているスタジオ録音を凌ぐ名演。 緊張感漂う速めのテンポ運びの中のじっくりとした歌心に年齢の深い重みが感じられます。 第一楽章冒頭の密やかな入りから展開部への減速もごく自然。116小節からの展開部に入りオーボエ、ファゴットに導かれる194小節からの混沌とする部分直前で大きなルバート。カタストフィーでの盛り上がりも見事なもの。 第二楽章前半は速いテンポでサラリと流していきます。49小節目のホルンの合いの手が入る部分から加速。151,153小節のコントラバスにトロンボーンを付加しているようです。中間部のブラスの咆哮は極めて情熱的。 179小節Andante sosutenutoからの第二部への導入直前のfffで大きな間を取り、その後気分をがらりと変えて、ヴィオラの内声部を浮きだたせながらの弦楽器がしみじみと感動的に歌い上げます。 コーダに入る221小節Andanteのチェロのみとなった部分の孤独感にはゾクリときました。 パンチの効いた第三楽章は、嵐のような弦楽器に対比するオーボエの自由なルバートと歌、それに応えるチェロのエスプレシヴォ。混沌とした状態から音楽は次第に実体を見せ始めてフィナーレにゆっくり着実に突入。 第四楽章は66小節のコントラバスから上昇していくa tempoでテンポを落し、力強く遅めにじっくりと盛り上げていきます。展開部の始まりModerato assaiのコントラバスとチェロのピチカートで止まりそうなまでに減速。 213小節のホルンにアクセントを付加、弦楽器から管楽器への旋律の受渡しでは、弦楽器を短めに切り、スピード感を演出していくので感覚的にはさほど遅く感じませんでした。 終末へ向けてゆっくり延々と繰り返す8分音符の山形の音型の繰り返しの中で、じわりじわりと盛り上げ、輝かしくも感動的なクライマックス。 透明で美しい響きのバイエルン放送響のブラス群が、終盤のコラールで圧倒的な効果を上げていました。 今回聴いたのは、First classicsというところから出ていたCDで、いわゆる海賊版です。きれいで良好なステレオ録音でした。 (2011.10.25) |