「シベリウスの2番を聴く」61・・・・日本の指揮者たち 渡邉暁雄 その2
・日本フィルハーモニー交響楽団
(1961年4月17日 東京都杉並公会堂 スタジオ録音)

世界初のステレオによるシベリウス交響曲全集中の一枚。

米エピックへの録音で国内では日本コロンビアから発売されました。

速めのテンポですっきりスタイリッシュに仕上げた演奏でした。
上品で優雅なシベリウス。
多少荒削りですが当時の日本のオケの水準としてはかなり健闘。


第一楽章冒頭から落ち着いた音楽運び。
オケの軽い響きが爽やかな趣。
主部に入ってから自然な加速。

53小節からのヴァイオリンのシンコペーションに個性的なズレが感じられますが、
これはこの録音のみの解釈。
最初のフォルテシモでは音の濁りが気になりました。

第二楽章ではオケにもう少し洗練されたものが欲しいと思います。
132小節のホルンのアクセント指示はテヌート。

第三楽章中間部のオーボエソロ直前のGPの間隔は短めにして、再現部からのティンパニが雄弁、フォルテシモを着実に決めながらフィナーレに突入していきます。

第四楽章はスピード感もありオケも熱く燃え上がった輝かしい出来。
テンポを微妙に揺らしながら長い登り坂の頂点での雄大なクライマクスも見事でした。

細部まで洗練された響きと音楽運び、アンサンブルも緊密で、これは世界初のステレオ録音によるシベリウス交響曲全集ということでの相当のリハーサルの結果だと思われます。

今でも立派に存在感を誇れるもの。

手持ちは米エピックのステレオ初期のLP。
バランスの良いナチュラルな響きでプレスも良く、良い音でした。
(2018.02.19)