「ロルフ・クライネルト(1911〜?)」 旧東ドイツの指揮者。クライネルトについては詳しくわかりません。LP初期にURANIAやいくつかのマイナーレーベルに少なからず録音がありました。 国内盤ではスイトナーの「軍隊」とカップリングされた「時計」の録音が廉価盤で出ていました。 アーベントロートの後任として旧東ドイツのベルリン放送交響楽団の常任指揮者。 ・ベルリン放送交響楽団 (不明 放送用スタジオ録音) 音楽の自然な流れとオケの素朴な響きが魅力的な演奏でした。楽譜の改変で大きく目立つ個所はフィナーレぐらいのもの。 第一楽章冒頭から美しい響きとロマンティックにして清楚な運びです。オケの渋い響きも好印象。100小節4拍めのヴァイオリンの16分音符のザザザと強調。 215小節からのヘミオラの音型で大きくクレシェンドしていきます。 息の長い旋律の緊張感の保ち方も秀逸。367小節のホルンは思い切りのフォルテ。 再現部452小節のクラリネットソロでテンポを急に落していました。 続いてジャンプにつぐジャンプで段階的にテンポを上げ530小節から大きな変化していきました。 第二楽章は素朴で田舎の気分の自然体。楽譜にはほとんど手を加えていませんが、115小節のホルンにトランペットを重ねているかもしれません。 速いテンポで優しげな第三楽章に続く第四楽章は、ポリフォニックな声部がきれいに立ち上っていきます。40小節めでは3,4番ホルンのみにアクセントという細かなところを聴かせ、緊張感はしだいに上昇。最後2小節の1,2ホルンは全音符に改変。 第5楽章はの冒頭部分は弦楽器のみに改変。 力強くも楽しげに曲は進行。ホルンのブリリアントな響きは狩猟の音楽のよう。 171−186小節までホルンのカットはマーラー版と同じアイディア。 255小節めで大きくテンポを落としてファンファーレへ突入。 最終場面の322小節のホルンは木管楽器と重ねていました。 素朴なオケの響きの中で終盤312からの3小節の木管を自由に吹かせながらの生かし方などうまいものです。 強い自己主張はありませんが、渋い響きと自然な流れで、音楽そのものにすべてを語らせる深い味わいのある演奏でした。 手持ちのCDはPILZから出ていたCD。バランスの良い美しい音でした。 (2012.03.24) |