今回はシュトゥットガルト放送響とのライヴ録音を紹介します。 ・シュトゥットガルト放送交響楽団 (1960年9月16日 ライヴ録音 ) 同じ年にコンサートホール・レーベルへのスタジオ録音を残していますが、驚くことに12月のスタジオ録音とは印象が非常に異なりました。 若々しくもエネルギッシュな音楽の気配はパリ音楽院管との演奏に近いものです。 録音の取り方の違いもあるかもしれませんが、重厚で暗い響きのドイツ風の音がスタジオ録音の軽く枯れた音と異なります。 譜面の改変は、パリ音楽院管との録音よりも12月のスタジオ録音に近いのは当然とはいえ、第一楽章176小節の木管にホルンを重ねる部分のように、この録音のみの改変があります。 パリッと冴えたリズムと即興的なテンポ変化の妙、第三楽章のロマンティックな歌など、聴きどころ満載の名演。 第4楽章の2分の3拍子部分の遠くから音楽が迫ってくる緊迫感など、この録音のみで聴かれるものです。 第4楽章52小節のファンファーレ風の部分は、後のスタジオ録音が譜面通りであったのに対し、こちらはパリ音楽院管との旧盤同様一回目のトランペットをカットしていました。 シューリヒトはライヴとスタジオ録音では、演奏のスタイルを使い分けていたようです。 スタジオ録音で気になったアンサンブルの乱れはライヴでは感じられませんでした。 今回聴いたのは、カナダ産の表示でありながら実際は日本産だった海賊レーベル、ディスクルフランから出ていたシューリヒトのライヴを集めたCD3枚組です。 海賊版なので音質は期待できませんが、さほど悪い音質ではありませんでした。 (2011.06.09) |