今回はロイヤル・コンセルトヘボウ管の首席指揮者とバイエルン放送響の音楽監督を兼ねるマリス・ヤンソンスの演奏です。 ヤンソンスはラフマニノフの交響曲全集、「パガニーニの主題による変奏曲」を含むピアノ協奏曲全曲と主要な管弦楽曲を録音していて、交響曲第2番は2種類の録音があります。 フィルハーモニア管弦楽団 (1986年11月19、20日 オールセインツチャーチ ロンドン スタジオ録音) ヤンソンス40代のCHANDOSへの録音。第一楽章序奏から情緒纏綿と歌いフォルティシモではオケを開放的に鳴らしますが、各楽器をきっちりとバランス良く響かせ理知的にまとめているところが知性派のヤンソンスらしいところです。 練習番号6の16小節、練習番号14のa tempo piu mossoの32分音符の刻みなど、随所で聞かれるティンパニが小気味良く決まっています。練習番号17の1拍前のティンパニの強打に導かれ劇的なクライマックスに達する箇所もチューバの凄まじい咆哮とともに興奮させられます。練習番号20からの弦楽器とコールアングレのたっぷりとした歌との動と静の対比も見事。第一楽章最後のティンパニの1発あり。 第2楽章の練習番号26のグロッケンシュピールが加わる部分からの急加速はいささか唐突。続くmoderatoではヴァイオリンに絡むオーボエが美しく響きます。 第4楽章の悠然としたテンポは、他の3つの楽章と比べるといささか肥大気味ですが、練習番号60の3小節前の譜面にないピアノは鮮やかでスマートな印象。練習番号83から音楽がひたすら上昇、練習番号87のクライマックスの頂点でのシンバルの一発付加もお見事。 フィルハーモニア管の反応も見事、ヤンソンスの作品への大きな共感が爆発した重厚で劇的な演奏でした。 (2007.01.14) |