「ラフマニノフの2番を聴く」41・・ロシアの指揮者たち7 M.ヤンソンスその2
今回はマリス・ヤンソンスの2回目の録音です。

・サンクトペテルブルクフィル
(1998年   サンクトペテルブルク フィルハーモニーホール スタジオ録音)
ラフマニノフ交響曲全集中の一枚、現在外盤ではパガニーニの主題による変奏曲を含むピアノ協奏曲と主要な管弦楽曲とセットで格安で入手可能です。
オケは対向配置、音響が程よく整理された都会的でスマートな演奏でした。旧盤で聴かれたアクの強いワイルドな面白味は後退しましたが、音の練り具合ではこちらが上です。

第一楽章序奏は暗く逞しい開始、練習番号1からしだいに加速し練習番号2からクレシェンドを伴いながらテンポを上げ、主部は逞しさから一転してフットワークの軽い清潔な叙情で聞かせます。
練習番号17の1拍前では、旧盤はティンパニの強打から大きな盛り上がりに発展して行きましたが、こちらは譜面上のテヌートをアクセントに変えていました。最後の小節ではティンパニの一発付加。

第2楽章両端部分とMeno mossoとの対比は、旧盤よりも鮮やか。練習番号39の6小節めの3拍目はヴァイオリンにトランペットを重ねています。Moderatoの頂点ではホルンを強調させ、練習番号47の5小節ではppをsfに改変。

第三楽章では、対向配置が効果を発揮し、弦楽器の受け渡しが非常に美しく響いています。特に練習番号48のpoco piu mossoが秀逸。音楽の流れも自然で、音の大海に静かに身を委ねるような心地良さが感じられました。
第四楽章も洗練されたバランスの良い出来、87のシンバルの付加も見事に決まっていました。

今回聴いたのは、東芝から出ている国内盤CDです。リマスタリングのためでしょうか、全体的におとなしい音作りがパンチに欠ける印象を助長しています。シャンドスの旧録音の生々しい響きの方が曲の性格をよく掴んでいると思いました


(2007.01.24)