ドミトリ・キタエンコ(1940 - ) サンクトペテルブルグ(当時はレニングラード)生まれ、レニングラード音楽院、モスクワ音楽院で学びその後ウィーンでスワロフスキーに指揮を学ぶ。 1969年第一回カラヤン国際指揮者コンクール2位(1位はフィンランドのオッコ・カム)。 1976年から1996年までモスクワフィルの音楽監督。その後ベルゲンフィル、フランクフルト放送響の音楽監督。 キタエンコにはモスクワフィルを振った正規録音があるようですが、今回聴いたのは裏青の海賊版CDです。 ・ベルリンドイツ交響楽団 (2003年12月 ライヴ録音) ゆっくりとしたテンポの中にラフマニノフ独特の憂鬱とロマンを凝縮させた演奏でした。 暗い始まりの第一楽章序奏から、深く地の底を這うようなチューバの音が印象的。オケを開放的に鳴らしつつしだいに壮大な音のドラマが展開していきます。 主部に入るとはじめのフレーズは粘りがちであるものの同じフレーズの繰り返しはあっさり演奏、これは古くはストコフスキーも同じように演奏していました。 練習番号[15]からのせき込むようにテンポを加速して緊張感を高め、盛り上がりの直前の練習番号[21]から大きくテンポを落とし壮大に歌わせています。最後のティンパニはなし。 第2、3楽章も加速しながら大きく落としてクライマックスに突入という同様のパターンの繰り返し。第2楽章中間部のCon motoでは第一オーボエのメロディを強調。 ただし第4楽章の最後、練習番号[89]の最後の盛り上がり直前で大きな減速を掛けた時に、そのまま突っ走る弦楽奏者とブレーキを掛けた管楽奏者との間で大きなギャップが生じてアンサンブル大崩壊。 一瞬アレレ?とさせられますが、数小節後直ちに帳尻を合わせ立ち直っているのはお見事。私もスコアを見ていなければ気がつかなかったと思います。 多少の傷はありますが、曲への深い共感が余裕の音楽造りを生み出している名演だと思います。重厚で豪快なオケの響きもずしりとした手応えと安定感を感じさせています。 音はステレオ、家庭のエアチェック録音をそのままCD化したような響きですが、比較的聴きやすい音質でした。 (2007.02.18) |