アレキサンダー・アニシモフ サンクトペテルブルクとモスクワ音楽院で合唱指揮を学ぶ。その後ロジェストヴェンスキーに指揮を師事。ベラルーシ・オペラバレー劇場、アイルランド国立響の常任指揮者を歴任し、現在アイルランド国立響名誉指揮者。 ・アイルランド国立交響楽団 (1997年3月 ダブリン 国立コンサートホール スタジオ録音) 無名の指揮者とオケを安いギャラで雇い膨大な数の録音をおこなっているNAXOSのラフマニノフ交響曲全集録音中の一枚。 第1楽章が非常に遅い演奏。じっくり聴かせる序奏は良いのですが、Allegro主部も鈍足調でこれではAllegrettoです。その後もテンポの大きな動きはなく、変化らしい部分は練習番号[21]から多少速める程度でした。第1楽章最後のティンパニ有り。 第2楽章以下は標準的なテンポ。第2楽章Moderatoと第3楽章のあられもない歌わせ方、第3楽章の練習番号[51]へのクライマックスへの道程で、突然音量を弱めながらクレシェンドし頂点でぐっとテンポを溜める手法は、このように演奏したい誘惑に駆られる場面ではありますが、あまりにもあからさまにやってしまうと、二流のハリウッド映画を見るような甘さと恥ずかしさを感じてしまいます。 ゆっくりと丁寧にオケを歌わせ、弦楽器の陰に隠れている木管を部分的に浮き上がらせるといった指揮者の個性は感じられます。ブラスの豊麗な響きと弦楽器の爽やかな音色は好感触ではありますが、オケ全体で鳴り響く部分に音の濁りが感じられ、特に第3楽章で気になりました。 遅いテンポで始めた第1楽章の演奏時間が、リピートなしで曲全体の半分近くになっています。しかもこのテンポと緊張感を維持したまま第2楽章以下を支えることができず最後は息切れ状態。その結果第4楽章の大きなカットという妥協の産物を生じることになり、演奏全体がアンバランスなものになってしまいました。 第4楽章:練習番号[61]の5小節目から[62]の8小節目まで、練習番号[76]から[80]の12小節めまでをカット。 (2007.02.26) |