「ポール・パレー(1886 - 1979)」 フランスのルーアン近郊の港町トレポルに生まれる。父は象牙職人でありながら聖ジャック教会のオルガニストやオルフェオ歌劇場の音楽監督を務めた多芸多彩な人。 兄もルーアン音楽院の教授でした。パリ音楽院で作曲を学びローマ大賞を得た後1923年ラムルー管首席指揮者、1932年コロンヌ管首席指揮者。第二次世界大戦中はモンテカルロに居をかまえ対独レジスタンスにも協力。1952年からデトロイト交響楽団の音楽監督。 ・デトロイト交響楽団 (1957年 3月17日 デトロイト、フォード会館 スタジオ録音) 35ミリマグネティックフィルムの優秀録音で名高い米マーキュリーへの録音。 引き締まった男性的な解釈と適度なロマンがアポロ的な均衡を見せた名演。 第1楽章主部Allegro moderatoの主題は、テンポをあまり動かさず楽譜指定のテヌートではなく短めに切り、しなを作るような崩しを見せるアゴーギク。練習番号17のホルンにはトロンボーンを重ねていました。 第2楽章冒頭は硬質な響きと切れ味鋭いアクセントで遅めに進めますが、moderatoでは一転して清楚な歌を聴かせます。チェロのピチカートに意味を持たせながらのCon motoへの移行も絶妙。後半で意表を突く大胆なカットが有り、これは好悪が分かれるかもしれません。 第4楽章の、テンポを自然に落としながら第3楽章の回想部分に突入する部分など実にうまいものです。終結部分の練習番号90のティンパニは3連符に改変。 第1楽章序奏でのpoco piu mosso前のチェロのピチカートやAllegro moderatoの主題を下で支えるチェロ、そして第4楽章の「怒りの日」を彷彿させる後半弦楽器群の下降音型など低音弦楽器の深い表情が印象的な演奏でした。 曖昧さのないすっきりした表現の中に聴かせる即興の妙、そして色彩豊かな音のパレットも圧巻でした。デトロイト響は相変わらず隙のない見事なアンサンブルを聴かせています。 以下が演奏時間とカットの箇所です。( )はプレヴィンの1973年 「第1楽章:16'26" ( 18'59" )」 ・ 練習番号3のAllegro moderatoの最初の2小節 ・ 練習番号9の16小節めから8小節 ・ 練習番号10の17小節目のTempo Iから6小節 ・ 練習番号14から15の前まで ・ 練習番号19の9小節目から8小節 ・ 練習番号23の5小節めから10小節 ・ 練習番号23の19小節めから4小節 ・ 練習番号24の8小節めから8小節 「第2楽章:6'59" (10'00")」 ・練習番号37の13小節目から42まで 「第3楽章:10'44" (15'37")」 ・ 練習番号50から8小節目 ・ 練習番号53から55の前まで 「第4楽章:11'16" (13'59")」 ・ 練習番号61の9小節めから練習番号62の9小節めまで ・ 練習番号68から4小節 ・ 練習番号69から7小節 ・ 練習番号76から80の12小節前まで (2006.05.02) |