「ラフマニノフの2番を聴く」25・・ロシアの指揮者たち3 ロジェストヴェンスキー
「ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(1931 - )」

モスクワ生まれ、母は歌手で父はモスクワ音楽院の指揮科教授のアノーソフ。父から指揮を学び、ボリショイ劇場の指揮者を経て1961年からモスクワ放送響の首席指揮者。ソビエト国立文化省管弦楽団、ストックホルムフィルやBBC響の首席指揮者を歴任。

・ ロンドン交響楽団
(1988年3月10,11日 トーティング オーレ・サインツ教会 スタジオ録音)

カットなしの全曲録音。テンポは遅め、第1楽章はリピートを励行しているために20分を越えていますが、ロジェストヴェンスキーの端正で軽妙な音楽運びのため停滞感はありません。深い叙情の漂う第3楽章は秀逸。

第1楽章はModerato手前で微妙にテンポを落し、続く主題は粘らずスルリと進行。最後の音にティンパニの1発付加。第3楽章の練習番号49のコールアングレとセカンドヴァイオリンの絡みの美しさ、第4楽章練習番号78leggeroの、弦楽器の受け渡しの軽妙さが印象に残ります。

第4楽章終盤で各楽器が次第に集まりながらじわりじわりと一つの方向に収斂し、大きなクライマックスを築く部分など素晴らしい盛り上がりですが、録音に明瞭度を欠くため感動をもたらすまでに至りません。
オケは緻密なアンサンブルを聴かせますが、響きが淡白なため大地をゆるがすような重厚なスラヴ情緒は感じられませんでした。

今回聴いたのはRegisというレーベルから出ているCDです。これはIMP原盤でかつてファンハウスから国内盤CDが出ていました。残響の多い教会での収録で、かなり人工的に手を加えているような音です。楽器のミキシングに問題があり弦楽器と管楽器のバランスの不自然さが気になりました。
(2006.06.02)