アンドレ・プレヴィン(1929 - ) ユダヤ系ロシア人の家庭にベルリンで生まれる。ベルリン高等音楽院、パリ音楽院で学んだ後にカリフォルニアに移住。モントゥーに指揮を学んだ後、1940年代からMGM映画の音楽監督として作曲家・ジャズピアニストとして活躍。映画音楽では4回オスカーを受賞、ジャズピアニストとしても数多くの名盤を録音しています。 1963年セントルイス交響楽団を振って指揮デビュー。その後ヒューストン響、ロンドン響、ピッツバーグ響、ロイヤルフィル、ロスアンジェルスフィルの音楽監督、首席指揮者を歴任。2002年からオスロフィルの首席指揮者。 ラフマニノフの交響曲第2番の録音は以下の3種類があります。 ・1966年 ロンドン響 スタジオ録音 ・1973年 ロンドン響 スタジオ録音 ・ 1985年 ロイヤルフィル スタジオ録音 他にいくつかの海賊ライヴ録音があります。 ・ ロンドン交響楽団 (1966年 ロンドン スタジオ録音) プレヴィンが指揮者として活躍し始めた頃の録音で、慣習的なカットがあります。 若々しくも伸びやかな演奏。全体にテンポが遅く、第1楽章の序奏とAllegro Moderatoはほぼ同じテンポ、練習番号8の前のModeratoも同じテンポ。 練習番号27の7小節目からのファーストヴァイオリンの密やかなピアニシモから大きくクレシェンドが印象的。最後のティンパニの一打はなし。 第2楽章は幾分リズムの硬さが感じられ、練習番号30からの加速も唐突。 第3楽章はこの時期のプレヴィンならではの初々しくも甘美な音楽をたっぷり聴かせてくれます。クラリネットソロも極上。終結のTempo Iに至る弦楽器群の盛り上がりも感動的でした。フルートも実に美しい。 第4楽章はまさに歓喜の爆発。軽いバスに乗った小気味良いティンパニの響き。練習番号66でテンポ落とし大きく歌わせます。 全体の完成度では二つの再録音に及びませんが、この演奏でしか聴けない独自の魅力が感じられる演奏です。特に第3楽章の上品で美しい歌わせ方は3種のスタジオ録音中ではベストだと思います。 今回聴いたのは、ビクターから60年代に出ていたSHP規格のLPです。当時の録音としては優秀ですが、この頃のビクターのプレス特有の硬質な再生音。 以下がカットの箇所です。 「第1楽章」 ・ 練習番号3のAllegro moderatoの最初の2小節 ・ 練習番号9の16小節めから10小節 ・ 練習番号9のTempo Iから5小節 ・ 練習番号13の5小節目から6小節 ・ 練習番号14から15の前まで ・ 練習番号17の17小節目のa tempo から18の前まで ・ 練習番号19の9小節目から8小節 ・ 練習番号23の5小節めから10小節 ・ 練習番号23の19小節めから4小節 ・ 練習番号24の8小節めから8小節 「第2楽章」 ・練習番号40から42の前まで 「第3楽章」 ・ 練習番号50から8小節目 ・ 練習番号53から55の前まで 「第4楽章」 ・ 練習番号61の9小節めから練習番号62の9小節めまで ・ 練習番号68から4小節 ・ 練習番号69から7小節 ・ 練習番号76から80の12小節めまで ・ 練習番号83の9小節めから4小節 (2006.07.03) |