「ラフマニノフの2番を聴く」33・・・ギブソン
「サー・アレキサンダー・ギブソン(1925 - 1995)」

スコットランド生まれのギブソンは、活動の場がほとんどイギリス国内に限定されていましたが、モノラル期から比較的多くの録音を残しています。晩年は故郷グラスゴーのオケを振り、玄人好みの渋く内容の濃い録音を数多く残しました。

・ スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
(1980年5月14,15日 グラスゴー ヘンリーウッドホール スタジオ録音)

イギリスのレーベル、シャンドスへの録音。渋みのある暗さの中にロマンティックでクールな情感が漂う名演でした。熟練の棒に敏感に反応するギブソンの故郷グラスゴーのオケも見事。

青白き叙情の漂う序奏からテンポをあまり揺らさないAllegro moderatoに突入、練習番号13のMeno mossoの2拍目からテンポを速め次第に緊張感が高まります。最後の小節はテンポをゆっくり落しティンパニ付加。
第2楽章は冒頭遅めで開始、Moderatoは逆に通常よりも速いテンポとなるのがユニーク。練習番号38の19小節目にティンパニ付加。

第3楽章も速いテンポ、クラリネットソロの下で動くチェロの雄弁さや、練習番号48の3小節前3拍目のホルンの絶妙なテンポの落し方など、随所でうーんと唸らせる練達の解釈が続出。練習番号51以降の大きな盛り上がりでの楽器のバランスも完璧、トロンボーンの弔鐘の音も実に効果的に鳴り響いていました。

第4楽章は練習番号59の13小節めから加速、今までとは一転してテンポが大きく揺れ、練習番号79からの後半はさらに加速、大きなクライマックスを演出していました。

オケの北欧的な響きと、ギブソンの細部までのこだわりの解釈が魅力的な名演。
録音もオケの響きを美しく捉えた極上の出来でした。
(2006.09.09)