エンリケ・バティス(1942 - ) メキシコ生まれ、ジュリアード音楽院とワルシャワ音楽院で指揮を学び、1983年からメキシコシティフィルの首席指揮者。バティスは爆演系指揮者として名高く、同じくアルゼンチン生まれのカルロス・パイタと双璧の熱血野郎。 レコーディングも数多く一部で熱狂的なファンがいます。 2002年に初来日しましたが演奏会はたった1回、右上方45度に高く上げた右手を単純に上下するだけのユニークな指揮姿とマフィアのドンのような容貌、期待にたがわぬ?爆演で満席の聴衆を多いにを沸かせたそうです。 幻想交響曲は2つの録音があるようですが、 ・ロイヤルフィル 1987年 スタジオ録音 ・フィルハーモニア管絃楽団 1998年 スタジオ録音 この二つは同じもののような気がします。 ・フィルハーモニア管絃楽団 (1998年 スタジオ録音) メキシコ発売のレーベル、バティスエディションのCD。おそらくイギリスのASV原盤だと思います。細かなニュアンス無縁の典型的なラテン系ネアカ爆演。 アクが強くゆらゆら揺れる第1楽章はリピート有り。ヴィヴラートたっぷりのイデーフィクス、その後テンポの揺れが落ち着きの無さを感じさせます。耳を突き刺す金管の絶叫。きちがいじみた後半の加速。粘らずサラっと第2楽章は可憐さも漂います。 早いテンポのあっけらかんとした第3楽章はデリカシーに欠け、無表情なイングリッシュホルンソロが印象的。 前半で精彩を欠いていた演奏が後半2つの楽章になると、にわかに音楽が生き生きとしてきました。第4楽章リピート有り。遅い第4楽章冒頭は3、4番ホルンを強調。リピートの際2回目では2、4拍目テインパニのアクセントを強調するなど細かな一面も見せます。 行進曲部分の推進力のある輝かしい金管の響きはゴキゲンの出来。 第5楽章も小細工無しの早めのストレート。クラリネットソロアレグロから次第に加速。「怒りの日」で大きくテンポを落としますが、その後は勢いどんどん加速、雄大にして壮麗、お祭り気分を盛り上げていました。 (2004.11.29) |