ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(1931 - ) モスクワ生まれ、父は指揮者のアノーソフ。ボリショイ劇場のバレエ指揮者として名を上げ、以後モスクワ放送響首席指揮者(1961 - 1972) ストックホルムフィル首席指揮者(1974 - 1982、1984 - 1997) ソビエト文化省響首席指揮者(1982 - 1993)を歴任。 ロジェストヴェンスキーの幻想交響曲には以下の4つの録音があります。 ・モスクワ放送響 1962年 スタジオ録音 ・レニングラードフィル 1971年 ライヴ録音 ・ソビエト文化省響 1988年 ライヴ録音 ・ロイヤルストックホルムフィル 1991年 スタジオ録音 ・モスクワ放送交響楽団 (1962年 モスクワ スタジオ録音) モスクワ放送響首席時代の初期の録音でメロディア原盤。今回は国内盤LPを聴きましたが、70年代初期に新世界レコードというレーベルで出たこのLPは、使用しているマスターテープの鮮度に欠け、細部が不鮮明で音がこもり気味です。 演奏は楷書風のきちんとした大変見事なもの。大きなテンポの動きはありませんが、遅いテンポでじっくり歌わせる第1楽章終結部の宗教的な美しさと第2楽章の柔らかな表現、そして第4楽章の壮麗さとの対比が印象に残ります。 細部に多少の加筆があり、第1楽章後半のクライマックス(411小節から)と第4楽章後半の木管楽器の旋律にトランペットを重ねています。 このトランペットが実に見事で、細かなパッセージを木管楽器群にぴたりと合わせる超絶技巧にはただただ唖然とするばかり。 第4楽章冒頭ホルンはゲシュトップ有り、弦楽器の第1主題は、ヤンソンス、ムラヴィンスキーと共通の歌わせ方。行進曲部分では、ここでも1オクターヴ上げたトランペットの輝かしい響きが壮麗な行進曲を演出。終わりクラリネットソロ後の全合奏のファンファーレでは極端に遅いテンポで、あたかもロシア皇帝の入場のような重厚壮大さを感じさせます。第5楽章はこれといった特徴のない優等生的な出来でした。 怒りの日はチューブラベル使用。 全曲にわたりオケが実に優秀で、30代に入ったばかりの若きロジェストヴェンスキーの優れた才能を知ることのできる最良の演奏。 (2004.09.27) |