大友直人(1958 - ) 東京生まれ、N響指揮研究員を経て日本フィルの正指揮者、その後東京響の正指揮者、京都市響常任指揮者。 ・ジャパン・ヴィルトゥオーゾシンフォニーオーケストラ (1994 8月6日 鎌倉芸術館 ライヴ録音) 1992年から始まった日本の首席クラスのオケメンバーを集めたジャパン・ヴィルトゥオーゾオケの一連の録音。アルファミュージック社から出ているライヴCDです。 オケはさすがに高性能で、第2楽章ワルツなど完全に1本のヴァイオリンの音に聞こえます。芯のある透明なオーケストラの響きも聴き応えがありました。 第1楽章のイデーフィクスの細かやかな歌わせ方とその後のスピーディな展開を聞いていると、指揮者が完全にオケを手中に治めているように思います。第1楽章終結部コラール直前にぐっとタメて落とし所を作るなど、意表を突いた解釈も見せます。 しかし聴いていて楽しめたのは第3楽章までで、後半の二つの楽章はなぜか停滞感が感じられ、オケの響きも透明な響きでありながら次第に無機質なものに思えてきました。特にffになると顕著。弦楽器と管楽器のバランスもいまひとつで、臨時編成オケの弱点がでてしまいました。 広上淳一(1958 - ) 東京生まれ、1984年キリル・コンドラシン指揮者コンクール優勝。スェーデンのノールショッピング響首席指揮者、日本フィル正指揮者、ロイヤル・リヴァプールフィル首席客演指揮者、オランダのリンブルク響の首席指揮者を歴任。 ・ロイヤル・リヴァプールフィルハーモニー管絃楽団 (1999年2月17、18日 リヴァプール フィルハーモニーホール ライヴ録音) 広上淳一が首席客演指揮者であった時期のライヴ。ロイヤル・リヴァプールフィルの自主制作CDです。同日の演奏会ではプーランクのバレエ組曲「牝鹿」が演奏され、このCDにもカップリングされています。 第1楽章冒頭、イギリスのオケ特有のメロウでまろやかな響きにまず注目、中間部オーボエソロ前でテンポを落とし、弦楽器を粘らせ掴み所のないもやもやとした感情を感じさせます。 早いテンポで進め、のどかさと緊張感の共存が見事な第3楽章では、雷鳴部分の後の弦楽器の下降音型を1音1音強調し、まるで泣き崩れるかのような表現。生きが良くスピード感溢れる第4楽章では、最後のファンファーレを極端に短く切っていました。 曲の標題性を強く意識したアクの強い演奏ですが、感情の爆発を赤裸々に出すといった演奏ではなく、諦めも似た感情が支配したユニークな演奏。 第1、第4楽章リピート有り、鐘は高めの音色の物を使用。 (2004.11.03) |