カルロ・マリア・ジュリーニ(1914 - 2005) イタリアのヴァレッタ生まれ、聖チェチーリア音楽院でヴァイオリン・ヴィオラ・作曲を学ぶ。1934年、同音楽院管弦楽団のヴィオラ奏者となり、フルトヴェングラー、ワルター、サバタらの指揮のもとで演奏する。 1944年6月、ローマ解放記念演奏会で同音楽院管を指揮してデビュー。 1946 - 50年 ローマRAI管首席指揮者。 1950 - 53年 ミラノRAI管首席指揮者。 1953 - 56年 ミラノ・スカラ座音楽監督。 1969 - 73年 シカゴ交響楽団首席客演指揮者。 1973 - 76年 ウィーン交響楽団首席指揮者。 1978 - 84年 ロスアンジェルスフィル音楽監督・常任指揮者。 以後はフリーとなり、ウィーン・フィルやベルリン・フィル、コンセルトヘボウなど録音。1998年引退。 「新世界より」は3回のスタジオ録音があります。 ・ 1961年 フィルハーモニア管 ・ 1977年 シカゴ響 ・ 1992年 ロイヤル・コンセルトヘボウ管 ・フィルハーモニア管弦楽団 (1961年6月 ロンドン キングズウェイホール スタジオ録音) デ・サバタの助手であったジュリーニの才能を最初に見出したのはEMIの敏腕プロデユーサーのワルター・レッゲでした。1960年前後にレッゲのプロデユースにより録音されたフィルハーモニア管との録音中の一枚。 端正で引き締まった演奏、のびやかな歌の中に爽やかさも感じられる名演。 第1楽章序奏ティンパニトレモロは1発打ち、第2主題はAABBのジムロック版使用。主部に入ってからは1拍めを強調気味にする独特のアコーギクを聴かせ、終結部411小節からのトランペットは2小節目のクレシェンドを強調し独特の効果を上げていました。 第2楽章も品格のある音楽運びでUn poco più mossoではオーボエに爽やかな哀愁が漂います。第4楽章が実に良いテンポ感で進行、歌心も充分ですがクラリネットソロはちょっと自由に歌いすぎで嫌味。 中間部の154小節から、快適なテンポ感の中に多彩な音量の変化を見せながら素晴らしい盛り上がりを築いています。ppからfffまでのダイナミックレンジも広く、音楽も自然に流れています。大きな広がりもあり巨匠の風格を感じさせる名演でした。 今回聴いたのは東芝EMIが復刻したCDです。いくぶん平板さが感じられるのはマスターテープの経年変化のためでしょうか。 (2006.03.11) |