「サー・ジョン・バルビローリ(1899 - 1970)」 バルビローリのドヴォルザークは、手兵ハレ管との7番以降の3曲の録音があります。 ・ ハレ管弦楽団 (1959年4月 マンチェスター スタジオ録音) バルビローリが50年代に集中的に録音をおこなっていたイギリスのPyeレーベルへの録音。DiskyのCDには1958年9月3日録音と記載されているようですが、私の手元にあるLPの三浦淳史さんの標記に従っておきます。 音楽に対するひたむきさと、しみじみとした歌で泣かせる演奏でした。オケはバルビローリの棒の下、懸命な健闘ぶりですが非力さは否めず、第1楽章序奏のテーマを予見する部分で4番ホルンのピッチが低かったり、第3楽章のブラスの響きが割れ気味であったりと、ニューヨークフィルやロンドン響などの第一線級のオケに比べるとに聴いていて悲しくなる瞬間があります。 第1楽章序奏ティンパニトレモロは2段打ち、第2主題はAABBのジムロック版。 主部以降はインテンポで歌わせながら経過主題のヴァイオリンでほのぼのと聴かせます。392小節コーダ直前のホルンのffで大きくテンポを落としていました。 第2楽章のコラールのチューバが絶妙のタイミングとバランスで入っています。聴き手を大きく優しく包み込むような愛情のこもったロマンティックな歌も感動的です。 第3楽章はもの静かな雰囲気が漂いますがリズムはきっちり、ただしフォルテで響きが寸詰まりなのはレンジの狭い録音のためだけとも言えないようです。 第4楽章主題の弦楽器はスタッカートを付け、音符短めの独特のアゴーギクで聴かせます。ブラス群の健闘で壮大さと輝かしさには不足せず、267小節からのホルン跳躍部分のヴァイオリンの刻みも明確。コーダ部分の328小節での弦楽器の主題もスタッカートで短く切り上げた後、331小節のmenoはバーンスタイン同様テンポを早めず譜面のとおり演奏し、ブラームスの交響曲第1番終結部の影響を感じさせるエンディングを強調していました。 今回聴いたのは国内廉価盤LP(ULS3064)です。LPでは日本コロンビアのMSシリーズからも出ていましたが、こちら後にティチクから再発されたもの。 音が多少ざらつき気味でレンジも狭いですが、ティンパニなどの各楽器の響きはかなり鮮明に捉えていました。 (2005.12.10) |