「新世界よりを聴く」87・・・ロシアの指揮者たち4 スヴェトラーノフ
「エフゲニー・スヴェトラーノフ(1928 - 2002)」

モスクワ生まれ、モスクワ音楽院でガウクに指揮を師事、

1954 - 1964  ボリショイ劇場 首席指揮者
1965 - 2000  ソビエト国立響(ロシア国立響)音楽監督
1999 - 2000  ハーグ・レジデンティ管首席指揮者を歴任。
フリーになった2000年以降は客演の日々を送り、N響にも客演し、ロシア的なスケールの大きな芸風を披露してくれました。

・ 国立ソビエト交響楽団
(1981年3月11日 モスクワ音楽院大ホール ライヴ録音)

メロディア音源からCD化されたScrebendumのCD。カップリングは66年録音の「春の祭典」とモソロフの「鉄工所」。

スヴェトラーノフの演奏でしばし聴かれる、いわゆる典型的爆演骨太ライヴでした。

第1楽章序奏ティンパニのトレモロは2段打ち、第2主題はBABA型のスプラフォン版使用。主部39小節以降のトランペットとトロンボーンと経過主題の1拍めに強いアクセント付加し、第2主題は大きく揺れ、ルバート多様の実に濃い味付けです。
軽い響きのコラールで始まる第2楽章は、ホルンミュート部分のコントラバスをfで強調するなど、聴いていて???となる解釈続出。Un poco meno mossoでもテンポは変わらずゆっくりそのまま進行。

第3楽章は小気味良いフットワークの良さを聴かせ、中間部176小節からのフルートのスキップを踏むようなスタッカートが印象的。
お待ちかねの第4楽章では、吼えまくるブラス群、ルバートたっぷりのクラリネットソロなど期待通りのスヴェトラ節全開。第2楽章コラール再現前の295小節では下で動くトロンボーンを硬い音でアクセントを強調させるため、まるでチャイコフスキーの交響曲第5番フィナーレのように聞こえてきます。330小節以降のコーダでは大きくテンポを引き伸ばし、333小節以降のUn poco meno mossoは鏡餅を両手で思い切り引き伸ばしたような粘りを演出していますが、音楽のバランスが大きく歪んでしまいました。
曲の最後の小節はフォルティシモのまま音を伸ばしていて仰天。

今回聴いたCDは音の鮮明さを欠き、響きもずいぶんと荒れています。カップリングの「春の祭典」はLPに比べると随分と鮮明になっていたので、元のテープの状態が悪かったのでしょうか。
(2006.01.31)