今回はモーツァルトとフォーレ、そしてデュリュフレのレクイエムとの構成の比較です。 まず典型的なレクイエムの形式に沿って作曲されたモーツァルトのレクイエム。 ・イントロイトゥス(Introitus 入祭唱) 第1曲 レクイエム・エテルナム 第2曲 キリエ ・セクエンツィア(続唱) 第3曲 ディエス・イレー【怒りの日】 第4曲 トゥーバ・ミルム【奇しきラッパの響き】 第5曲 レックス・トレメンデ【恐るべき御稜威の王】 第6曲 レコルダーレ【思い出したまえ】 第7曲 コンフターティス【呪われ退けられし者達が】 第8曲 ラクリモーサ【涙の日】 ・オッフェルトリウム【奉献文】 第9曲 ドミネ・イエス【主イエス】 第10曲 オスティアス【賛美の生け贄】 ・サンクトゥス【聖なるかな】 第11曲 サンクトゥス【聖なるかな】 第12曲 ベネディクトゥス【祝福された者】 ・アニュス・デイ【神の小羊】 第13曲 アニュス・デイ【神の小羊】 ・コムニオ【聖体拝領唱】 第14曲 ルックス・エテルナ【永遠の光】 次にフォーレのレクイエム。 第1曲 イントロイトゥスとキリエ(Introitus et Kyrie) 第2曲 オッフェルトリウム(Offertorium) 第3曲 サンクトゥス(Sanctus) 第4曲 ピエ・イェズ(Pie Jesu) 第5曲 アニュス・デイ(Agnus Dei) 第6曲 リベラ・メ(Libera me) 第7曲 イン・パラディスム(In paradisum) フォーレでは「怒りの日」を含むセクセンツァ(続唱)部分を省略。 またセクセンツァの「涙の日(ラクリモーサ)」に歌詞として含まれる「ピエ・イェズ」を独立した1曲とし、サンクトゥスに続くベネディクトスは省かれています。 コムニオはリベラ・メの一部として作曲されました。 なおリベラ・メとイン・パラディズムはレクイエムの通常文にはないものですが、フランスの作曲家のレクイエムでは、フォーレのほかロパルツやデュリュフレも作作曲しています。 ロパルツ、デュリュフレのレクイエムはほぼフォーレと同じ構成で、ソプラノとバリトンソロを加えたことと第1曲がD minorで始まることも共通しています。 デュリュフレのレクイエムの構成です。 第1曲 イントロイトゥス(Introit (Requiem Aeternam)) 第2曲 キリエ(Kyrie eleison) 第3曲 オッフェルトリウム(Offertory (Domine Jesu Christe)) 第4曲 サンクトゥス - ベネディクトゥス(Sanctus – Benedictus) 第5曲 ピエ・イェズ(Pie Jesu) 第6曲 アニュス・デイ(Agnus Dei) 第7曲 コムニオ ルックス・エテルナ(Communion (Lux aeterna)) 第8曲 リベラ・メ(Libera me) 第9曲 イン・パラディズム In Paradisum:「楽園(パラダイス)へ」 デュリュフレのレクイエムがフォーレと大きく異なる部分は、キリエとコムニオを独立させてそれぞれ1曲にしたことと、2つの世界大戦を経験した影響もあり 戦争への痛切な怒りとして第7曲Communion (Lux aeterna)の怒りの日の歌詞部分を厚みのあるオーケストレーションでかなり強調していることでしょうか。 編成も第1稿は多数の打楽器、コールアングレ2本にオルガンをも含む大きなものです。 (2017.01.21) |