リチャード・ヒコックス(1948 - 2008)

バッキンガムシャー州生まれ。ロンドンの王立音楽院やケンブリッジ大学で学ぶ。
ヒコックスは行動の人で、シティ・オブ・ロンドン・シンフォニアやリチャード・ヒコックス・シンガーズ、オリジナル楽器使用のコレギウム・ムジクム90など、いくつかの団体を設立し数多くの録音を残しています。

ロンドン響との関係も深く、ロンドン響合唱団の首席指揮者を1979年から1991年まで勤め、その間ロンドン響の副指揮者に1985年から就任していました。


・ロンドン交響楽団、合唱団
 ウエストミンスター聖歌隊少年合唱団
フェリシティ・パルマー(メゾ・ソプラノ)、
ジョン・シャーリーカーク(バリトン)、
(1982年1月 ロンドン、キングズウェイホール、)

ロンドン響合唱団首席指揮者時代の録音。

所有のLPには、ソプラノのジャネット・ベーカー財団提供によるレコーディングと書いてあり、レコードジャケット内に財団が販売しているスカーフなどのカタログが入っています。

オケのうまさで聴かせる演奏でした。

合唱は少年合唱団も加わりますが、部分的に大人のソプラノ合唱とミックスしたり独立させて歌わせたりと、なかなか細部のこだわりが感じられますが、少年合唱が入る部分では響きがうまく溶け合っていないような粗さも感じました。

全曲のクライマックスを第8曲に設定し、大きくテンポを動かしてディエス・イレの部分では強烈な盛り上がりを見せます。

第3曲リベレ・メと第8曲の大きな盛り上がりの後に訪れる「Poco piu lente」部分は少年合唱のみとして大きな落差を演出。

2人のソロでは太い声で歌うアルトのパルマーの歌が印象に残りました。
譜面に書かれている音は見事に音になっているとは思いますが、第3曲「リベラ・メ」のアニマトートでテンポを落とす部分など、音楽の運びが重く感じられる唐突感もあり、
ヒコックスのその後の録音に比べると未だ発展途上の感は否めませんでした。


今回は、手持ちの英盤LPとナクソスにアップされている音源を聞いてみました。

デジタル録音初期の録音で、合唱の響きが多少混濁しているのが気になりますが、オケは良い音で取れています。


(2017.06.12)