イヴァン・レプシック(1978〜 ) クロアチア生まれ、ザグレブ音楽院で指揮をパヌラとジェルメッティに学ぶ。 カールスルーエのバーデン州立歌劇場で大野和士の、ベルリン・ドイツ・オペラでドナルド・ラニクルズのアシスタントを経て2002年からクロアチア国民劇場の指揮者。 その後ハノーファーの州立歌劇場の音楽監督。 ウルフ・シルマーの後任としてミュンヘン放送管弦楽団の音楽監督。 レプシックは地方の歌劇場叩き上げのカペルマイスタータイプのようです。 若干30代にしてドイツの歌劇場の音楽監督に就任。 ・ミュンヘン放送管弦楽団、バイエルン放送合唱団 メゾソプラノ;オッカ・フォン・ダメラウ バリトン;リュボミール・プシュカリッチ (2017年3月16〜18日 ミュンヘン、Herz-Jesu教会) フルオケバージョンによる最新録音。 甘く美しくロマンティックに歌わせた演奏です。 バランス良く整理されたオケと合唱のアンサンブルが印象的。 特に弱音の歌わせ方のうまい指揮者だと思いました。 フルオケバージョンとはいえオケは控えめ。 デュリュフレの「あまりにも人間的なオーケストラの響きは極力抑えた」との作曲者自身の言葉を思い起こしました。 終曲「楽園にて」のホルンソロはミュートをしています。 合唱はかなりの大編成ですが、透明でよくコントロールされた美しい響き。 イントロィトウスからして甘い響きで大衆的にして宗教的な雰囲気は希薄です。 3曲目の大きな盛り上がりのあとのヴィオラとチェロの微かな揺れは官能的な甘い音。 サンクトウス最後で、コールアングレとホルンソロの絡みの中で合唱が消えゆくように去っていて行く減衰感は見事でした。 よくまとまってはいるものの美しい響きを追求するあまり、華美な音楽に陥いる瞬間もあります。 合唱が甘く歌いすぎているようで、宗教曲に求められている救いや安らぎの世界とは異なるように思いました。 2017年の最新録音。 今回はナクソスのミュージックライブラリーから聴きました。 ライヴ録音とはいえ聴衆のノイズはほとんど聞こえませんでした。 (2017.12.29) |