ミッシェル・コルボ(1934〜)
ミッシェル・コルボ(1934年〜)
スイスのマルセンス生まれ。地元フリブールの音楽学校で声楽と音楽理論を、リボーピエール学園で作曲を学ぶ。19歳でローザンヌのノートルダム・ド・ヴァランタン教会の合唱長に就任。1961年にローザンヌ声楽アンサンブルを創設してその指揮者に就任。

数々の合唱曲の名演を残しているコルボの演奏です。

テレサ・ベルガンサ(メゾ・ソプラノ)
ホセ・ファン・ダム(バリトン)
フィリップ・コルボ(オルガン)
コロンヌ管弦楽団&合唱団
(1984年 パリ、トリニテ教会、 スタジオ録音)

同じパリの私設オケ(メンバーもだぶっているのかもしれませんが)とはいえ自演盤のラムルー管と比べると音が普通の響きなのは録音年代の差なのでしょう。

オケと合唱のバランスも良好で、「キリエ」でののびやかな女声など、過度な効果を狙わず。
地味で質朴な自作自演に近い演奏でした。

ベルガンサのソプラノは淡々とした歌い口で過度に華麗でないのが良いと思います。

オケの精度はあまり高くなくて特にオーボエが遅れ気味なのが気になりました。
第8曲リベラ・メでのディエス・イレでホルンと合唱が微妙にずれています。


悠然とした曲の開始。

渾然と溶け合った合唱とオケの響きが心地よい空間を作り上げます。

キリエでは感動的な盛り上がりの中にトランペットの鄙びた響きが印象的。

合唱中心のバランスでオケの伴奏は控えめながら雄弁。
バリトンソロの弦楽器のトレモロも表情豊かです。

フォルテ部分でも節度有るクライマックス。
解釈というよりも譜面に書かれている曲の美しさを自然に引き出している印象でした。

今回聴いたのは国内盤CDです。

録音そのものがエラート特有の曖昧模糊としたものです。
終曲のチェレスタの音など最後の部分はほとんど聞こえませんでした。

これはLPでイコライザーカーヴを探りながら聴いてみたいものです。
RIAAカーヴではなくFFrrあたりで聴くと鮮明な音が聴けるかもしれません。



(2018.10.27)