Introduction
沼響は12月の伊豆新世紀合唱団との演奏会で、20世紀フランスの作曲家モーリス・デュリュフレ(1902〜1986)のレクイエムを演奏することになりました。

デュリュフレのレクイエムは、グレゴリオ聖歌をベースとして、フォーレのレクイエムにも似た清楚さの中に壮大さをも兼ね備えた、20世紀に作曲されたレクイエム中屈指の名作です。

デュリュフレはオルガニストとしての名声が非常に高かった音楽家です。

私自身もデュリュフレといえばオルガニストとしての印象が強く、バッハのオルガン曲のやフランス、バロック期の作曲家たちの名演がまず浮かびます。

フォーレのレクイエムの代表的な名盤といわれるクリュイタンスとフルネ指揮の第1回めとナディア・ブーランジェの録音にも名を連ね、サン・サーンスの交響曲第3番でもプレートル指揮パリ音楽院管、さらにオネゲルのオラトリオ「ダビデ王」の自作自演、ツィピーヌ指揮の「クリスマス・カンタータ」、自らが初演したプーランクのオルガンとティンパニのための協奏曲のプレートルとの録音など、オルガンの入るフランス系オーケストラ曲で、デュリュフレがオルガンソロを弾いていた名盤が数多くあります。

結局この演奏活動の多忙さが災いして、デュリュフレの作品は作品番号のついたものとして14曲しかありません。


デュリュフレと同世代の大作曲家で、オルガン奏者でもあったオリヴェ・メシアン(1908〜1992)と比べるとあまりにも少ない数です。

それでもデュリュフレの残された作品は、どれも純粋で深い宗教的な祈りに満ちた美しい曲ばかりだと思います。


マイケル・ジャクソン自作の「リトル・スージー」の導入部に、このデュリュフレのレクイエムの一部が使われています。
http://ameblo.jp/yucanyan-mj/entry-12049819519.html


歌詞の内容は非常に重いものですが、導入部にデュリュフレの作品を選んだマイケル・ジャクソンが、いかにいろいろなジャンルの音楽に精通していたかがわかり、凄みさえも感じます。

まさにキング・オブ・ポップ。


これから短期集中連載として、デュリュフレのレクイエムとその演奏について紹介していきます。


(2016.07.27)