チョン・ミュンフン(1953〜 )は韓国ソウル生まれの指揮者・ピアニスト。 ヴァイオリニストのチョン・キョンファとチェリストのチョン・ミョンファは実姉。 最初として出発し、チャイコフスキー国際コンクールでは第2位の腕前。 ピアニストとしてのレコーディングもあります。 その後指揮者に転向、ザールブリュッケン放送管弦楽団の首席指揮者を皮切りに1989年にはパリ・バスチーユ劇場の初代音楽監督に就任。 その後ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団首席指揮者、KBS交響楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、ソウル市立交響楽団音楽監督を歴任。 たびたび来日し、現在東京フィルの名誉音楽監督 ・ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、合唱団 チェチーリア・バルトリ(メゾソプラノ) ブリン・ターフェル(バリトン) (1998年6月 ローマ スタジオ録音) ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団音楽監督時代の録音 起承転結がはっきりしたわかりやすい劇場的な演奏でした。 ただし宗教的な神秘的な気分は希薄です。 オケと合唱のコントロールは見事。 オケの響きが比較的固めで合唱よりも前面に出てきています。 バリトロンソロの繊細な歌いこみと「ピエ・イエズス」のバルトリのソロは幾分陰のある声質が良い雰囲気でした。 最初の「イントロイトウス」から明確にしてロマンティック。 官能的な甘さも漂います。 「キリエ」では管楽器がカノン風に加わる練習番号16手前から大きく盛り上がりつつ、 各声部も明快。 「オフェルトリウム」26小節目Libera meのティンパニを極端に強調。 「サンクトゥス」では速めのテンポでたたみかける迫力は凄まじく。 ホザンナのクライマックスも強烈で続く「ベネディクトゥス」の静謐さとの対比が良く出ています。 ただし「ディエス・イレ」の大太鼓の猛烈な乱打はやり過ぎかもしれません。 「イン・パラディズム」の低い音程の合唱のコントロールは見事。 譜面に書かれている音は見事に音になっていますが、いささかキツめのタッチで、デュリュフレにはもう少し地味なタイプの演奏が曲想に合っているような気がします。 フォーレのレクイエムとのカップリングで、演奏としてはフォーレの方が出来が良いと思いました。 (2019.11.14) |