新「第九を聴く」9ピリオド系の指揮者たち・・・・ヘレヴェッヘ
「フィリップ・ヘレヴェッヘ(1947 - )」

ベルギーのヘント生まれ。少年聖歌隊に幼いころから所属。大学では精神医学を専攻し、その後ヘント音楽院でオルガンとチェンバロを学ぶ。1969年コレギウム・ヴォカーレ・ヘントを結成。1977年、ラ・シャペル・ロワイヤルの音楽監督に就任。1982年からヘント古楽祭、1997年からロイヤルフランダースフィルの音楽監督。

ヘレヴェッヘは2001年の来日時にロイヤルフランダースフィルとの実演を聴きました。
プログラムは、マーラーの「子供の不思議な角笛」とブルックナーの交響曲第7番。オケは対向配置、バスチューバが一人金管群から離れて左側のコントラバスの横に鎮座していたのが印象に残っています。
この配置ではブルックナーのワーグナーチューバとホルンとの荘重なコラールがさぞ合わせにくかろうと思っていたら、第2楽章直前にチューバ奏者がノコノコと右側に移動していました。

・ シャンゼリゼ管弦楽団、ラ・シャペル・ロワイヤル・コレギウムヴォカーレ
S)M.ディーナー Ms)P.ラング T)E.ヴォトリヒ Br)D.ヘンシェル
(1998年 サル・ドアルスナル、メッツ ライヴ録音)

ベーレンライター新版使用によるピリオド楽器による演奏。ハルモニア・ムンディへのベートーヴェン交響曲シリーズの初録音。
速いテンポでオケをすっきりと鳴らしたさっぱり系の音楽造り、明朗でサラリとした端正な演奏。
音楽には関係ないことですが聴いているうちに、三島での来日公演時の演奏会が始まる前にコンビニで野菜サンドを買っていた小柄なヘレヴェッヘの姿を目撃したことを思い出しました。

第一楽章は混沌とした暗さよりも小気味良い明るさが支配、320小節でティンパニ強調。最後の小節でテンポを大きく落とし着地。
第二楽章では198小節からのティンパニのディミヌエンドなし。リピート有り。
411小節のPrestoはサンダー盤同様猛烈に速く、続くトリオもそのまま速いテンポ。

深くひそやかな雰囲気の第三楽章は、ファンファーレの後からテンポのユレが出てくるのが唐突さを感じさせます。

第四楽章序奏のチェロ・コントラバスは軽い響き、バリトンソロは薄く明るめの声質で、まるでテノールのように聞こえます。マーチは速いテンポ、続くAndante Maestosoの合唱は柔らかな響きを獲得、二重フーガも遅めのテンポで雄大に進行。終結部では、880小節からラトル盤のようにピッコロを強調していました。第一楽章と同じく最後の小節は大きくテンポを落とします。

手堅いアンサンブルで響きのバランスも良く、合唱、ソリストともに技術的に問題のない美しい演奏ですが、常に一定のテンポで進行し音色の変化にも乏しいため、単調な演奏に聞こえました。
(2006.12.07)