「ブラームスの4番を聴く」39・・・・独墺系の指揮者たち5 コンヴィチュニー
フランツ・コンヴィチュニー(1901 - 1962)

フルトヴェングラー時代のライプチヒ・ゲヴァントハウス管のヴァイオリン奏者を務めた後、シュトゥットガルト国立歌劇場の練習指揮者。その後フランクフルト、フライブルク、ハノーヴァー、ドレスデン、ベルリンの国立歌劇場の音楽監督を歴任。コンヴィチュニーは現場叩き上げの典型的なカペルマイスターです。1949年からゲヴァントハウス管弦楽団の常任指揮者。

コンヴィチュニーのブラームスの交響曲録音は、スタジオ録音の第1番と第4番のライヴ録音があります。

・ベルリン国立歌劇場管弦楽団
(1960年10月28日   ベルリン  国立歌劇場  ライヴ録音)

ベルリン国立歌劇場総監督時代の録音。今回聴いたのはweitblickのCDです。ステレオ録音の表記がありますが60年代の録音としては相当オソマツな音。おそらくモノラルを電気的にステレオ化したものだと思います。響きは薄く金属的、さらに楽器の定位は定まらず聴いていて不快なことこのうえなし。やむなくアンプのスィッチをモノラルモードに変え低音を少し持ち上げて聴きました。

このような状態なので演奏の実体をどの程度伝えているのか疑問ですが、コンヴィチュニーの演奏としては幾分緊張感に欠ける印象です。

第一楽章冒頭のヴァイオリンの極端なヴィヴラートと女性的でロマンティックな味わいは、他の演奏で聴かれる剛直なコンヴィチュニーのスタイルと異なります。その後は一定のテンポで大河の如く滔々と進行。294小節からテンポの上げ、盛り上げを意図するものの385小節のティンパニの崩れもありあえなく不発。最後の2小節で極端にテンポを落とすのも人工的です。

各楽器のバランスにも問題がありトランペットが突出する第3楽章は心乱されるものがあります。
第4楽章28小節からの重厚なゴツゴツ感はまさに伝統的なドイツの響き。ここでようやく調子が出てきたようです。フルートソロに入る前の94小節のテンポの落とし方のうまさも秀逸。13変奏の105小節から絶妙な揺らぎも聴いていて感心するばかり。21変奏でテンポが落ちるものの停滞感はなく、ここでぐっと音楽の幅が広がり不動の巌のような安定感で最後にぐっとタメを効かせて終結。

第4楽章でようやく重厚で安定感のあるコンヴィチュニーの本領発揮でしたが、全体としては長年の経験の積み重ねで漠然と流しているルーティンな印象。ともかく録音状態の悪さのため最後まで聞くのに忍耐を要する演奏でした。
(2008.01.07)