・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (1949年6月10日 ヴィスバーデン国立劇場 ライヴ録音) ヘッセン放送の収録による録音。当日はプフィッツナーの歌劇「パレストリーナ」からの三つの前奏曲と、モーツァルトの交響曲第40番が演奏されました。 大河のごとき悠々たる流れの中に満ち溢れている熱いエネルギー。1948年の二つの録音よりも華やかで生き生きとした活力が感じられる演奏でした。 第一楽章冒頭の第一音の長さはこの演奏が最長です。テーマが繰り返す19小節目から次第に加速し119小節のトランペットとホルンのファンファーレを強調。156小節からのヴァイオリンと木管の絡みが美しさと第2主題のピチカートの鋭さが印象的。 第2楽章は、冒頭のホルンからクラリネットソロに切り替わる4小節目からのテンポの遷移とこれに伴う気分の転換が実に絶妙。30小節めからのヴァイオリンを支えるチェロのピチカートも雄弁。 第3楽章の手放しの明るさはこの演奏独特のものです。軽やかなクラリネット、チャーミングなファゴット、何か良いことでもあったのでしょうか。199小節直前のクラの優しい表情から終結部に突入する部分の静と動の対比も見事なもの。 終結部319小節からの続く怒涛のffのでは最後の小節で下腹にぐーと力をこめるような猛烈なクレシェンドを加えていました。 第4楽章は決然とした冒頭で開始。第3変奏29小節の3,4番ホルンのアクセント強調はこの録音のみの解釈。第8,9変奏のヴァイオリンの16分音符も鋭く切り込みながら実に表情豊か。第12変奏のフルートソロを下で支えるヴァイオリンのヴィヴラートも大きめでした。続く第13変奏では10月22日の演奏ほどテンポを落とさず、第22変奏で怒涛の終結を迎えていました。 今回聴いたのは、当日の演奏会の曲目全てを収録したワルター協会原盤による日本コロンビアのLP2枚組(OS7070BS)です。この時期の日本コロンビアの復刻モノラルLPは音が良く、豊かな響きでピチカートも明瞭な聴きやすい音質でした。このLPからの板起こしのCDが出ているほどです。 (2007.07.31) |