「ハンス・スワロフスキー(1899 - 1975)」 ブタペスト生まれ、シェーンベルク、ウェーベルンに作曲を、ワインガルトナーとR.シュトラウスに指揮を学ぶ。シュトゥットガルト、ハンブルクなどドイツの主要な歌劇場の指揮者を歴任、1934年ベルリン国立歌劇場の音楽監督、1940年ザルツブルク音楽祭総監督。1946年からウィーン音楽アカデミーの指揮法と音楽理論の教授の地位にあり、アバド、メータ、シノーポリ、ヴァンデルノートらを指導。 かつて駅やデパートの安売りワゴンセールでよく見つけたスワロフスキーのCDですが、実際には本人の演奏でなかった場合も多かったようです。 ブラームスは、現在激安CD4枚組で評判になったクアドロマニアから交響曲全曲の形で出ています。 ・南ドイツフィルハーモニー管弦楽団 (録音日不明 スタジオ録音) いつ頃のものか判らない素性不明の録音です。CD初期にカペレ(学研)から幻想交響曲と一緒に国内盤が出ていました。 ほどよいテンポで始まる第一楽章冒頭が非常に美しい演奏でした。のびやかで自然な動きで流し素麺のように音楽がスルスルと流れていきます。ただ楽想の変わり目での間やタメがないため何度も聴いていると変化の乏しさが気になりました。第一楽章後半の373小節以降から次第に音楽が停滞気味となり、道端に座り込んだ牛を無理やり動かそうとしているような鈍重さも感じます。 あっさりもたれずにサラリとした第ニ楽章は、88小節からのヴィヴラートたっぷりの弦楽器群が非常に美しく最後の3,4番ホルンの冒頭回帰の決然とした響きも印象に残りました。第三楽章冒頭のスタッカートとアクセントの区別も明確。 オケは多少響きが薄いものの健闘。第四楽章第一変奏前の気合の入ったホルンの低音の強奏、第14変奏のトロンボーンのヴィヴラートも印象的。 余計なことをせず自然体で小さくまとまっている点で同じワインガルトナー門下のクリップスと似ていますが、スワロフスキーの方がより開放的、口当たりの良い甘い余韻が心地よい演奏でした。 今回聴いたのは、20年近く前にデパートのワゴンセールで見つけたオーストリアプレスのCDです。ステレオ録音ですが分離はさほど明確ではありません。第3楽章から突然左右が反転していて唖然。 (2007.10.30) |