「ブラームスの4番を聴く」35・・・・独墺系の指揮者たち3 カラヤンその2
・ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(1963年10月12 - 16日 ダーレム イエス・キリスト教会 スタジオ録音)

カラヤンの三種あるブラームス交響曲全集の第一回録音中の一枚。この時期のカラヤンはドイツ・レクイエムを含めブラームスの作品を集中的に録音しています。第4番は第2番、第1番とともに10月中に一気に録音されています。

磨き上げた音響をしなやかに運んで行くスタイルは旧録音と同じですが、さらに精緻にして味の濃い演奏になりました。

大きく天に飛翔するかのような第一楽章冒頭からゴージャスでダイナミックなブラームスを展開。テンポの動きは僅かであるものの展開部に入る直前136小節めで大きく間を取ります。再現部から減速し399小節のアクセントはテヌートで通り過ぎ、弦楽器をたっぷり響かせます。

間を短めに取りつつあっさり進む第ニ楽章は、後半110小節目の2本のクラリネットがぴたりと流れていくのが実に見事。終結部の冒頭再現の3,4番ホルンは3拍めを長めに伸ばすのが特徴的。

第三楽章から大きなテンポの動きが出てきました、下を支えるチェロとコントラバスの充実した響きと軽快な動きによって重量感と躍動感の相反する要素を見事に両立させています。特に第二主題で顕著。輝かしく盛り上げながら153から155小節までの弦楽器をテヌートでたっぷり響かせていました。

第四楽章冒頭から壮大にして劇的に展開。第4変奏は遅く開始するものの、第10変奏まではインテンポで進行。89小節の第11変奏の木管の三連符を短めに演奏させ第12変奏のフルートソロでは自由にテンポを動かします。このフルートソロがほれぼれするようなうまさ。ツェラーでしょうか。続く第13変奏のフルートソロ後半からしだいに加速。285小節からさらに加速し後半の壮大なクライマックスに導いていました。

充実した低音に支えられたピラミッド型の音響が屹立する重厚にして壮大な演奏。躍動感にも不足せずとにかく立派な音楽が鳴り響いています。

今回聴いたのは日本グラモフォンが出していた国産LPで、箱物の交響曲全集中の一枚。この時期のグラモフォン独特の滑らかで豪奢な再生音。
(2007.12.03)