「ブラームスの4番を聴く」45・・ロシアの指揮者 バルシャイ
ルドルフ・バルシャイ(1924 - )

ロシアのラビンスカヤ生まれ、モスクワ音楽院でヴァイオリン、ヴィオラを学ぶ。ヴィオラ奏者として草創期のボロディン弦楽四重奏団、チャイコフスキー弦楽四重奏団のメンバーとして活躍。レニングラード音楽院でイリア・ムーシンに指揮を学び、モスクワ室内管弦楽団を組織。メロディアに数多くの録音を残しています。
この頃の録音では、1962年にデッカの録音陣がモスクワに乗り込み録音したバルトークの「喜遊曲」で聴かせたバルシャイの無駄のない引き締まった解釈と、鋼のような強靭なモスクワ室内管のアンサンブルが印象に残っています。

・ ケルン放送交響楽団
(1990年代前半   ライヴ録音?)
アメリカのLaurel Recordから出ている第2番とのカップリングのCD2枚組。どうやらライヴ録音のようです。若いころの殺気漂う凄みは消え失せ、穏やかで平穏に満ちたブラームス。

第一楽章はバスを効かせながらゆっくりと開始。フォルテでも柔らかな響きで繊細で羽毛で撫でられるような音楽が続きます。389小節からソツなく盛り上がり最後の一音は長めに終止。冒頭速いテンポで開始する第二楽章は健康的で美しく進行。第2主題でわずかにテンポを落とし、通常じっくり歌わせるでも88小節からも軽くサラリと流します。知らぬうちにテンポは減速し終結部ではかなりテンポは落ちます。

第三楽章も音楽自身に語らせる自然体。346小節2拍目のヴァイオリンのスタッカートをアクセント気味にするなど、要所はきっちり引き締めるベテランの味。
第四楽章冒頭はテヌート気味の柔らかい開始。第一変奏から第4変奏にかけて次第に加速しながら表情豊かなフルートソロ後の第13変奏でさらに速めますが、この楽章冒頭回帰の130小節からぐっとテンポを落とします。194小節からは休符を長めに採るのが特徴的。

おそらくリハーサル最小限の一発流し採りだと思います。高性能のオケを自由に泳がす老練な演奏であたかも老僧の枯れた書を見るようですが、厳しさや緊張感は感じられず好悪は分かれそうです。
(2008.03.14)