今回はルーマニア生まれの2人の指揮者の演奏です。 「エドゥアルド・リンデンバーグ(1908 - 1973)」 ルーマニア、ブカレスト生まれ、ベルリンでシェルヘンに師事。1947年までブカレストフィル音楽監督。その後フランスへ移住。パリ音楽院指揮科教授、フランス国立放送局の音楽監督を歴任。コミッショナーや小沢征爾もリンデンバーグの教えを受けたそうです。 ・北西ドイツフィルハーモニー管弦楽団 (1969年 Harford スタジオ録音) フランスのレーベル、エラート録音による交響曲全集中の1枚。国内盤では1970年頃1,000円の廉価盤で出ました。エラート独特の品格の感じられる録音で、演奏も基本しっかりのオーソドックス、当時の私はこの中の第1番の演奏を好んで聴きました。 今回聴いた第3番はワーナーの廉価レーベルapexのCDです。 演奏の印象は穏健で中庸、ごく常識的なものです。初めて聴く分には十分ですが、第1番では感じられなかった物足りなさを第3番では強く感じました。 オケも非力で、第4楽章の149小節目などオケが悲鳴を上げているような絶叫状態となっています。両端楽章が遅めで2、3楽章は早めのテンポ設定、曲のテンポは大きく動かず音量変化も少ないもので、全体的に中性的でのっぺりとしています。 ただ、のびやかでレガート気味の第1楽章第一主題や、第2楽章第二主題を支える漣のような弦楽器の響き、第3楽章のオケのなんとも枯れた音に独特の魅力が感じられるのも事実。第1楽章190小節以降の難所もなかなかの迫力で聞かせます。 第2楽章のクラリネットは健闘していますが、他の楽器に比べて前面に出すぎ、これは録音に原因があるのかもしれません。 「オットー・アッカーマン(1909 - 1960)」 ルーマニアのブカレスト生まれ、ベルリンで指揮をセルとブラームスと親交のあったプリューガーに師事。デユッセルドルフ、ブルーノ、ベルリンの歌劇場の指揮者を経て、1947年からウィーンフォルクスオパーの音楽監督。1958年チューリヒ歌劇場の音楽監督。 アッカーマンといえば「メリーウィドゥ」などのオペレッタの名指揮ぶりが名高いですが、純粋な器楽曲の録音といえばリパッティとの伴奏指揮ぐらいでしょうか。 ・チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 (1953年1月3日 チューリヒ トーンハレ スタジオ録音) 通信販売制レコードクラブのコンサートホールソサエティと関係の深いMusic Masterworks SocietyいわゆるMMS盤の10インチレコードです。 同じMMSシリーズ中のアッカーマンでは「運命」と「悲愴」もありました。 ブラームスとも関わりのあったプリューガーの弟子ということで期待したのですが、リズムが重く響きも薄め、自己主張も感じられず線の細さだけが目立つ演奏でした。 第1楽章第一主題のすべるような滑らかな開始はなかなかのものでしたが、長続きせず、次第に先細り。余韻と詩情に欠ける第2、第3楽章。 シンフォニックに盛り上がる第4楽章は幾分聴かせますが、強奏で響きが腰砕けなのは、硬い録音のためだけでなさそうです。 (2005.04.28) |