ウイルヘルム・フルトヴェングラー(1886 - 1954)」 J.Huntのフルトヴェングラー・ディスコグラフィー第6版によると、ブラームスの交響曲第2番の現在存在が確認されている録音としては以下の6種類があります。 ・1943年2月7−10日 ベルリンフィル 未発売 ・1945年1月28日 ウィーンフィル ライヴ録音 ・1948年3月22−25日 ロンドンフィル スタジオ録音 ・1952年5月7日 ベルリンフィル ライヴ録音 なお1947年のベルリンフィルとの第2楽章のリハーサル録音も存在します。 ・ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 (1952年5月7日 ミュンヘン ドイツ博物館 ライヴ録音) フルトヴェングラー晩年のベルリンフィルとのライヴ。 当日はベートーヴェンの大フーガも演奏されていますが今のところ未発売です。 ドラマティックな熱狂の中にどっしりとした巨匠の風格漂う名演。 まさに重量級の横綱相撲。 何かに憑かれたような張りつめた緊張感が漂う、妥協を許さぬ真剣勝負の意気込みが感じられる演奏でした。 第一楽章冒頭からゆっくり神秘的な開始。78小節からテンポを落として確実に第2主題へ移行。116小節のティンパニをトントンと強調。134小節のシンコペーションから風雲急を告げドラマティックに展開していきます。 第一主題が折り重なりながら発展していき、224小節のトランペットを強奏するデモーニッシュな迫力は凄いものです。 再現部に入ってからの295小節目から徐々にテンポを落とし嵐を収めていく手腕。 446小節あたりで一瞬の間を置きてホルンの長大なソロに入る部分など、鮮やかなものでした。 第二楽章は小節単位に微妙に揺らせ、27小節から巨人が眠りから目覚めるように劇的に進行。92小節からのコーダのはじめの部分のティンパニに猛烈なクレシェンドをかけていました。緊張感を保ちながら一歩一歩静かに終結する部分などすごいものです。 第三楽章は落ち着いた静けさに隙のない音楽。 ものもしい中間部から194小節の主題再現に入る部分に自然な減速。ここでも最後の終わり方のテンポの落としが絶妙。 第四楽章の最初は探るように開始しながらの23小節からの歓喜の大爆発との落差は強烈。 暫し前のめりになりつつ徐々に加速しながらの荒れ狂う様子は凄まじいものです。 クラリネットの下降音型を支える62−65小節のピチカートはp指示をfとしていました。 阿修羅のごとく荒れ狂うコーダのド迫力、最後のトロンボーンのD音はさながら勝利の凱歌のようでした。 今回聴いたのは東芝が出していた国内盤CDです。この時代相応のモノラル録音。 (2013.07.26) |